みなさんは、熱気球がどのように空高く上り、なぜ浮かんだまま落ちてこないのか、降りるときはどうやっているのか不思議に思ったことはありませんか?
気球の中には特別なものは入っていません。
全ては「空気」のおかげなのです。
それは、私たちが今吸っている空気と同じものです。
ではさっそく、どうやって熱気球を浮かせているのかについて、以下に空気の温度をもとに分かりやすく解説していきます。
空気は物質
空気は、目には見えませんが「無」ではなくて「有(何かが存在する)」なんです。
空気は、さまざまな気体が混ざり合った物質でできています。触ったり、感じたり、空間を占めるものはすべて、物質でできているのです。
水が物質でできているように、あなたが着ている服も、食べているものも、あなたの体でさえも、物質でできています。
では、物質はどのようなものでできているのでしょうか。
物質はとても小さな粒子でできている
物質は、分子と呼ばれる小さなものからできています(ちなみにその小さな分子は、もっと小さな原子と呼ばれるものがたくさんくっ付いてできたものですが、ここではそこまで考えなくて大丈夫です)。
分子というのは、目に見えないくらい小さな粒子なんですが、ちゃんと存在するんです。
だから、風船の中にも外にも、たくさんの空気の分子があって、動き回って、それぞれにスペースを取っている。
でも、分子にはおもしろいところがあるんです。
分子は熱を持つと、違う動きをするようになるんだ。
分子は温められると活発に動きまわる
そうです。何かが温められると、その分子はより速く動き回り、跳ね回り、広がり始めるのです。
そこが重要なところです。広がるんです。
では、熱気球の中の空気ではどうなるのか考えてみましょう。
熱気球の中では温められた空気が膨らむ
気球が地上で準備ができたとき、気球の中には空気が入っています。
その空気は、気球の外側の空気と同じ温度です。
つまり、空気の分子はすべて同じ速度で動き回り、気球の内側でも外側でも互いに同じように距離をとって離れています。
ところが、パイロットが熱気球の内側の空気を熱しはじめると変化が起こります。
確認しますが、気球には飛行機のようなエンジンはありません。
まず、パイロットがガスバーナーを使って炎を上げると、気球の内側の空気が熱くなるんだ。
すると、空気の分子が内部で跳ね回り始めて、互いに離れ始める。
この分子同士の間の距離が広がりはじめると、風船はさらに膨らむ。
そして、風船の内側にある空気の分子がそれぞれにより多くの空間を占めるようになります。これを空気の密度が低くなると言います。
やがて、風船の中の空気は、外の空気より密度が低くなり、浮き上がります。
熱気球の内側と外側で密度の大きさに違いができると浮かぶ
さて、以前に「密度ってなに?」で、なぜ浮くものと沈むものがあるのかという話をしたのを覚えていますか?
密度が小さいものは上に浮き、密度が大きいものは沈むということを学びました。
風船も同じです。
暖かい空気は上に上がる
実際、暖かい空気は常に浮き上がります。
冬に(家全体を暖めるセントラルヒーティングで)暖房をつけると、家の1階は2階より温度が低いことに気づいたことがありますか?
それは、家の中の暖かい空気が上へ上がっているからです。
熱気球では、気球の中の熱くて密度の低い空気が、外の冷たくて密度の高い空気の上に上がっていきます。
そして、そのおかげで風船は上昇するのです。
では、気球はどうやって地上に降りるのでしょうか?
熱気球はどうやって下に降りるのか?
気球を降下させるとき、パイロットは気球の上部にあるフラップを開けて、熱い空気を外に追い出します。
熱い空気が逃げて、気球の内側が少しずつ冷たくて重たい空気で満たされると、風船は地面に向かって静かに沈んでいくのです。
こんなに大きなものが、目に見えない小さな分子によって運ばれていくなんて本当に驚きですね。
でも、それこそが熱気球の、そして、科学のすごいところなのです。
他にも浮いたり飛んだりするものについて思い浮かびますか?ぜひそれぞれに仕組みを考えてみてください。
実は、太陽熱が風を起こすのも、この空気の温度変化が関係しています。
以下の太陽の熱で風車を回すというクールなプロジェクト「ソーラ―・アップドラフト・タワーの作り方」をもとに実際に実験してみてください。