地球上で最も暑い地域は、年中太陽光線が降り注ぐ赤道「上」にあるのではなく、むしろ熱帯の周辺、つまり赤道の上と下に位置します。
それはなぜでしょうか?
その答えは、乾いた空気と湿った空気の熱の違いにあります。
赤道上に降り注ぐ太陽の光は上昇気流を発生させ、赤道上の雲の形成を助け、雨や雷雨を引き起こします。
以下に、赤道付近が地球で最も暑い地域ではない理由についてさらに分かりやすくみていきましょう。
強い太陽光線が年中降り注ぐ「赤道」
地球の中心を通って、北と南の2つの半球に分ける線「赤道」。
これだけ太陽光線が降り注ぐのであれば、赤道上は灼熱の暑さに違いないでしょう。
しかし、 現実はその単純なイメージとは異なります。
地球で最も暑い地域「北回帰線・南回帰線」
地球の主な砂漠を示す世界地図を見てみると、北回帰線の近くには、サハラ砂漠、ルート砂漠、タール砂漠、北アメリカ砂漠など、また、南回帰線に近くには、ナミブ砂漠 、カラハリ砂漠、アタカマ砂漠、グレートビクトリア砂漠などの不毛の荒野が見つかるでしょう。
最も多くの太陽光を吸収するのは、熱帯の両縁ではなく、赤道地域のはずなので、これは奇妙に思えるかもしれません。
では、なぜ赤道上よりも熱帯地方の方が暑いのでしょうか?
赤道上よりも熱帯地方の方が暑い理由
その理由は、赤道が最も多くの太陽の放射熱を受け取る一方で、この熱の大部分は、蒸発する海や他の水域に吸収され、周囲温度の上昇には寄与しないという事実を中心にみることができます。
その結果、赤道の海洋上は、湿った暖かい空気が覆い、その結果雲が形成されます。
赤道地域には雲が集中しているため、これらの地域では頻繁に雨が降ります。
そして、この湿った暖かい空気は上昇し、水分の多くを失いながらさらに上昇を続け、地球の極(地)に向かって旅しようとします。
しかし、(地球の自転による)コリオリ効果によって移動経路が曲がってしまい、地球の熱帯地帯に向いて強制的に戻されてしまうのです。
乾燥した空気は、湿った空気よりも温度が上昇しやすい
この乾燥した空気は、熱帯地帯に降下するにつれて、さらに加熱されます。
低高度で乾燥した空気は圧縮されることで、分子が速く活発に動くようになり、このときに放出されるエネルギーによって温度が上昇(圧縮熱)するからです。
通常、湿った空気の中を1キロメートル下降すると、気温は6℃上昇します。
しかし、空気が乾燥していると 気温は約10℃上昇します。
したがって、 すべての熱力学を考えると、赤道における初期温度30℃は、熱帯内で42 ℃の最終温度に達する可能性があります。
これは、熱帯地方の周囲温度が、赤道沿いの気温よりも高い理由、また、世界の主要な砂漠の多くが赤道沿いではなく北回帰線と南回帰線付近に存在する理由を効果的に説明しています。
さらに、年間を通して日照量が増えることも貢献しています。
この現象は、西オーストラリア、北アフリカ、中東、米国南西部などの地域の対流圏(地上から高度約15㎞までの層)と成層圏(地上から約15㎞から約50㎞までの層)の境界からの空気の下降に起因すると考えられます。
これらの地域はすべて亜熱帯高気圧の東の縁に位置しているのです。