みなさんは、磁石にはさまざまな強さがあることにお気づきかもしれません。
そもそも磁石は、何を使って、どうやってできるのでしょうか?
実は、磁石は、鉄といくつかの金属を組み合わせて、「溶かす、固める、磁化させる」という工程を経て作られています。
金属の組み合わせや磁化のさせ方によって、磁力の強さも異なってきます。
さっそく以下に、磁石のつくられかたを見ていきましょう。
最初の磁石
磁石は昔、まったく作られていなかったはずです。
よく知られている最初の磁石は、ロードストーンやマグネタイト、磁鉄鉱などと呼ばれる磁石の性質をもった天然の磁石でした。
地球上のごく限られた場所にしか存在しない希少な岩石で、そのまま磁石として機能します。
ロードストーンは、岩石のように見えますが、ある種の金属を引き寄せたりする能力を持っています。
このような天然の磁石はかなり弱い傾向がありますが、やがて人々は、ロードストーンの目に見えない力が鉄や鋼鉄のかけらに伝わり、鉄やそれ自体を磁石にすることができることに気づきます。
磁石をつくろう
ここで一つ、手持ちの磁石を使って自分で試すことができる楽しい実験を紹介します。
スチール製のペーパークリップを手に取り、磁石で表面を数回こすってみてください(極に接触)。
不思議なことに、ペーパークリップ自体が磁石に変わります。これを磁化といいます。
さらに、クリップ同士を磁力でつないで鎖を作り、磁力が弱くなるまでに鎖がどのくらい長くなるか試してみるのもおもしろいでしょう。
この方法では、磁力の弱い磁石しか作れませんが、ここで、電気を使うことでさらに強力な磁石を作ることができることが発見されました。
電流を流して磁化
約200年前、科学者たちは電気と磁気の間に不思議な関係があることを発見。
それは中学や高校で詳しく学ぶことですが、この電気と磁気の関係を詳しく知ることで、磁石の作り方や強い磁石の作り方を解明することができます。
これは実際に磁石を作っている映像です。
その工程は、鉄の金属とニッケルやコバルトのように(余っている電子の磁界が打ち消し合わない物質)、お互いに混ぜ合わせるとうまく機能することが発見された特定の金属を組み合わせることから始まります。
工場では、まずこれらの金属を加熱して溶岩のように溶かします。このとき、金属のなかの原子にある磁石の向きは、熱によって振動してあちこちバラバラの向きを向いています。
溶かした金属を好きな型に流し込み、冷まします。温度が冷えるにつれて、近くの原子同士の磁石の向きがそろい始め、いくつかの同じ向きをもつグループができはじめます。このとき、まだグループはまばらで磁力はほとんどありません。
そして、溶けた金属が冷えて硬くなったら、強い電流を流します。
外から電流によって磁界がかかると、電流の磁界の方向にすべての原子の磁界の向きがそろいます。
これが金属混合物を磁性にする方法で、強力な磁石のできあがりです。
この磁石は、電流の強さや金属の素材、芯の太さによって磁力は変えることができます。
強力な磁石の働き
強力な磁石は、タイヤのホイールなどの重量物を運んだり、リニアモーターカー(磁気浮上式鉄道)のように、鉄道を浮かせて走らせたりすることもできます。
線路の中に強力な磁石があり、それが列車を押し上げ、実際に線路の上に浮いているようにするのです。
このような強力な磁石は、電磁石と呼ばれる特別な種類の磁石で、電気を使って実際にオン・オフできる磁石なのです。みなさんも、乾電池を使って電磁石を作ることができます。
オン・オフできる強力な磁石を使って、他にどのように便利なことができるでしょうか?
磁石あそびで気づくことはたくさんあります。
例えば、磁石がどのような物質を引き寄せるのかを実験してみるのもおもしろいかもしれません。
たしかに磁石は何でも引き寄せるわけではありませんね。
磁石同士はお互いに引き寄せあったり、引き離すこと(反発)もできます。
ぜひみなさんも実際に磁石を手にとって、実験しながら考えてみてください。
磁石がどうやってできるのかは、以下の動画で見ることができます。