まず、水と比べるとケチャップは粘度が高いです。
粘度とは、流体が流れるときの抵抗のことで流れやすさをあらわす度合いに使われます。
つまり、ケチャップは水に比べて、流れに対する抵抗力(運動を妨げる力)が強く働くために、流れにくいということ。
粘度が低い水は、ちょっとの力で動かしたり(ボトルを傾けるだけでいい)、形を変えたりできるのに対して、ケチャップという流体は、動かすのに大きな力を加える(ボトルを強くにぎる)必要があるのです。
この粘性による「抵抗する力」は、ニュートンの粘性法則で表されています。
以下に、ケチャップがボトルから出しにくい理由を科学的に分かりやすく紹介していきます。
ケチャップは「非ニュートン流体」
ニュートンの粘性法則にそって、水は流れの速さと抵抗力が比例するのが「ニュートン流体」。どれだけ力を加えても粘土が変わらない流体です。
水や空気などがニュートン流体にあたり、その粘性は、どれだけ圧力がかかっても変わりません。
一方で、ケチャップやマヨネーズなどはこれに当てはまらない「非ニュートン流体」。非ニュートン流体の粘度は力を加えると変化します。
ですから、ケチャップを注ぐには圧力をかける、つまり強く押す必要があるのです。
ケチャップは多くの成分で構成されています。
拡大してよく見てみると、ケチャップの固形部分、つまりトマトのかけらが互いに触れ合っていることが分かります。
低分子の水や空気に比べて、このトマトのかけらの物理的な結びつきが、ケチャップの流れにくさ(抵抗)を生み出しているのです。
結果的に、ケチャップはボトルから注ぎにくいというわけです。