スプーン1杯の土には何十億もの生物がいるって知っていますか?

土壌の生物や微生物がつくる生物多様性キッズサイエンス

土は生きています。私たちが「ただの土」と思っているものには、実は驚くほど多くの生き物が生息しているって知っていますか?

なんと、スプーン1杯の土の中には、何十億も目には見えない生き物が存在し、肉眼で見える生き物もあわせると1億種を超えると考えられています。

たとえば、庭を掘っていると、ミミズのような動物がちらほらと見えます。

ミミズは、庭の植物が育つのに必要な空気や栄養の供給を助けてくれる大切な存在です。

このように植物や動物、さらには私たちの生命を支えてくれている土の生態系の一部を以下に紹介します。

土壌にすむ生物・微生物

顕微鏡で、まずはじめに見えたのは「クマムシ」。

ムシといっても昆虫ではありません。

体調は1ミリもなく、8本の脚でゆっくりと動く緩歩動物(かんぽどうぶつ)です。

緩歩動物とは、私たちの庭だけでなく、海底から高山、極寒の地まであらゆるところに生育し、クマムシだけで1000種以上も確認されているナゾの多い生き物です。

クマムシも、スプーン1杯の土の中にいる、原生動物や細菌、菌類などの何十億もの生き物のうちのただ1つに過ぎません。

土の中の生物多様性

土は、水、岩石の破片、空気などが混ざったものです。

また、有機物と呼ばれるものも多く含まれています。有機物とは、植物や動物の死骸など、生きていたもの、あるいは生きているものを指す言葉です。

土の中には、地上よりも多くの種類の生きものが生息しています。

ある地域に生息するさまざまな生物を「生物多様性:biodiversity(バイオダイバーシティ)」と呼びます。

「バイオ」は「生きている」という意味で、「ダイバーシティ」は「さまざまなもの」という意味です。

さらにすごいのは、土の中の生きものと土の上の生きものがそれぞれにつながっていることです。

例えば、庭の植物を見てみましょう。

植物は根っこで地中に張り付いています。その根は、水や養分などの必要なものを植物が吸い上げるのにも役立っています。

一方で、根は土の中に糖分を放出しています。

バクテリアと呼ばれる微細な生物らは、この植物が作り出す糖分を使って成長することができるのです。

そして、ある種のバクテリアは、そのお返しに植物が必要な無機物を与えたり、植物の根につく病原菌を防いだりしています。

なるほど、これは双方に利益をもたらすウィンウィンの関係ですね。

しかもこれはほんの一例に過ぎません。

他にも菌類という生き物が、植物の根と一緒に働いています。

植物と菌類の関係

菌類は科学用語で、キノコやカビ、酵母などを含む生物群のことです。

朽ちた丸太から生えてくるキノコや、私たちが好んで食べるおいしいキノコなど、実際には菌類だけで何百万種類も存在します。

土の中の菌類は、植物の根から極細の繊維状に伸びて、植物が土の中から必要なものを取り出すのを助ける余分な根のような働きをしています。

植物にとってはありがたいことですが、菌類にもメリットはあります。

菌類は、植物が作った栄養分を分けてもらって成長しているのです。

土の中にすむ分解者

しかし、菌類のなかには、植物や動物の死骸やふんを分解することでエネルギーを得ているものもあります。

それが「分解者」です。

分解者は、近所のリサイクル品を回収する人と同じようなものだと考えてもいいでしょう。

もし、リサイクルをする生き物がいなければ、土の下や上には、植物や動物の死骸が積み上がってしまいます。

土の中にすむ分解者たちは、自然のサイクルを維持して私たちの街をきれいにするだけでなく、ミミズやクマムシのような生き物の大切な食料源にもなっているのです。

参照元:Soil Is Alive