実は、キャンドルで何時間も燃えているのは、芯ではなく、ロウ。芯は、ロウが燃えやすくするために手助けし、炎を支える補助的な存在なのです。
それではさっそく以下に、キャンドルが燃えるとき、芯とロウには何が起こり、最終的にどうなってしまうのかについて科学的に分かりやすく紹介します。
キャンドルに火をつけると、綿の芯が燃えています。
さて、このように何時間もの間、熱と光を発したキャンドルはどうなると思いますか?
答え:何も残りません。
どうしてキャンドルは消えてしまうの?ロウはどこへ行ってしまったの?
たしかにかなり不思議ですね。一体キャンドルに何かが起こったのでしょうか?
簡単に言うと、燃やしたのです。
え?どういうこと?芯もロウも燃えたってこと?もっと分かりやすく教えてほしいなぁ。
キャンドルやオイルランプは革新的な発明品
先程、キャンドルはどうなってしまったたのかについて、燃やしたと答えました。
ロウは車でいうガソリンのようなもので、非常に便利な燃料です。
私たちは、電気に慣れているので実感しにくいかもしれませんが、芯と燃料を分離させたオイルランプをはじめ、それをグレードアップさせて芯と燃料を一緒にしたキャンドルの仕組みは、とてつもなく革新的なアイデアでした。
最古のオイルランプ
昔ながらのオイルランプに使われる油は通常植物油で、オリーブオイルや種子油、場合によっては動物性脂肪も含まれます。
最古のオイルランプはフランスのラスコー洞窟で発見されたものだといわれています。
年代を特定するのは困難ですが、洞窟内の壁画は17000年前に描かれたもので、当時、獣脂を燃料としたオイルランプを明かりとして使い、ラスコー壁画は描かれたと考えられています。
キャンドルやオイルランプが燃える仕組み
オイルランプを使うには芯を浅皿に置き、その皿に油を注ぐ必要があります。
炎によって、オイルを燃焼(ねんしょう)させて熱エネルギーができるというわけです。
この場合、燃焼とは、炭素を含む分子と空気中の酸素と反応し(酸化反応)、二酸化炭素と水、時にはその他の生成物に変化する化学反応をいいます。
オイルランプの場合、ここでいう炭素を含む分子は脂肪酸で、現代のキャンドルの場合はロウ(キャンドル)にあたります。
オイルとロウは、別の種類の化合物ですが、構造的には似ており、どちらとも燃焼のプロセスで発熱し、光や熱エネルギーを放出します。
芯が燃えるのではなくオイルやロウが燃えている
私たちは、火をつける芯が燃えていると誤解しやすいのですが、実際に燃えているのは、炎を支えている芯ではなく、芯に吸い上げられたオイルやロウが燃えているのです。
燃焼反応によって、オイルやロウが空気中で熱を伴って気化し、オイルやロウがある限りその反応は続きます。
キャンドルが燃えると消える理由
実のところ、オイルランプ、特に燃えやすい油を皿に入れて、そこに綿の芯を敷いただけのランプには問題があります。
誤って、オイルランプにぶつかると、オイルがこぼれて大きな火傷をしてしまうことがあるからです。
その点キャンドルが画期的だったのは、固形燃料の中に芯を入れることで燃料そのものをランプに組み入れたこと。
つまり、室温での水蒸気と気体の状態が、消えてなくなったロウの結末です。
ロウはどうなったのか
このロウの結末を実際に確認する方法があります。
ろうそくの炎の上に何か冷たいものをかぶせると、空気中から水蒸気が凝縮して水滴として出てくるのがわかります。
同様に、ろうそくの炎にコップをかぶせると、すぐに消えます。これは、燃焼によって酸素の濃度が下がり、二酸化炭素の濃度が上がるからです。
火を消した時に出る煙の正体
吹き消したロウソクからでる煙やにおいは、実は、未燃焼の燃料を表しています。
火を消した直後は、芯がまだ熱く、熱せられたロウはまだ蒸発していますが、気化したロウが熱で上昇するにつれて温度は下がり、燃えきれずに凝縮して、細かな固体のロウに戻るのです。
火を消した直後の煙に火を近づけると、凝縮した燃料の跡(煙)をたどって炎が芯に戻るのもこのためです。
これらのキャンドルのロウの結末は、数百キロ走ったところでガソリンタンクが空になってしまうのと同じ。
さて、キャンドルのロウがどこかに行ってしまうのではなく、空気の中の水蒸気と二酸化炭素になったなんて少しかっこいいお話だと思いませんか。
もうあなたは科学博士です。ぜひお友達や家族に、キャンドルのロウの結末について教えてあげてくださいね。