「台風の目」では何がどうなっているのか?

台風の目とは自然科学・地球科学

「台風の目」は、暴風雨の中心にも関わらず、晴れて暖かいなんて不思議だと思いませんか?

実は、台風の目ができるのは、風が渦を巻く回転が速いほど、外側に向けて引っ張られる力(遠心力)が生まれるからです。

この力で、中心では雲も嵐も、外に吹き飛ばされてしまうのです。

ここでは、台風の目はどうなっているのか、なぜ・どのようにしてできるのか、また、中心では温度が高くなる理由などを、身近な浴槽にできる渦を例に分かりやすく紹介します。

台風の目とは

ひどい台風の直後には、風が静まり、空が晴れ、空気が暖かくなり、天気が良くなるどころか、より一層美しくなることがあります。

しかし、その後、突然、天候は再び荒れ狂い、2度目の強烈な嵐が地域を襲うのです。

私たちは、嵐の合間にみせるこの奇妙な小休止状態を「台風の目」と呼びます。

しかし、なぜこのような小休止状態が暴風雨の中に存在するのでしょうか?

なぜ台風の目があるのか

台風の目の仕組みは複雑

なぜ台風に目があるのかを知るには、台風を渦巻く流体の巨大な塊と考える必要があります。

しかし、台風は複雑で、その内部では何が起こっているのか、科学者でさえいまだに多くの疑問を抱いているのが現実。

以下に、もっと単純で身近な螺旋状の流体「排水口」を例に、台風の目について考えてみましょう。

浴槽での水の渦

排水口を開けると、浴槽の水は内側に向けて回転し始め、排水口に近づくにつれてどんどん速く動き出します。

このとき、渦を巻いている水はすべて一点に集まり、どこかに行く必要があります。

当然のことながら、水は排水口に向けて下に流れていくわけですが。

はじめのうちは、水がゆるやかに渦を巻いているだけかもしれません。

しかし、水がだんだん急速に渦を巻くようになると、まるで子供が遊具の回転木馬に乗るように、(遠心力が働いて)水が外側に引っ張られ始めます

台風の中心から遠心力で風雨が吹き飛ばされる

そして、十分に外側に引っ張られると、空洞の円錐が形成され、「水の壁」の内側には空気が満たされます。

ここまでは、なんとなく直感的にイメージしやすいでしょう。

ちなみに、私たちの住む北半球では、排水口の水も台風の目も、地球の自転によって右側に引っ張られる(コリオリの力が働く)ため、反時計回りに渦を巻きます。南半球はその逆で、時計回りに渦を巻きます。(コリオリ効果は「ジェット気流」や「赤道より熱帯地方が暑い理由」にも影響)

実は科学者たちは、台風の目も多かれ少なかれ同じように形成されると考えています。

もちろん、いくつかの違いはありますが。

台風の渦の動きと台風の目のでき方

台風の目のでき方

台風は、排水溝のようなセンチメートルではなく、何キロメートルというはるかに大きなスケールで発生します。

流体が一点に集まりながら渦を巻いて下降する代わりに、台風は、一点に集まった空気が渦を巻いて上昇します。

それでも、渦巻く流体の力学は、排水口のものと驚くほど似ています。

台風の風の動き

浴槽の水と同じように、ハリケーンの中心付近の空気が十分に速く渦巻けば、外側に引っ張られ、空洞の円錐が形成されるのです。

そうなると、上空の穏やかな空気がゆっくりと円錐の中に沈んでいき、激しい渦巻きの中に穏やかな核ができます。

台風の目は天気が良く暖かい理由

台風の中心で温度が暖められる

中心で沈んだ空気が、どんどん地表に近づくにつれて、より高い圧力が発生します。そして、この圧力で圧縮された空気は暖められていきます。

この暖かさに、渦を巻く風の壁から放出される熱が加わると、ハリケーンの目は嵐の他の場所よりも20度以上暖かくなるといわれます。

台風の目の仕組み

さらに、暖かい空気は水分を多く含むため、中心に沈み込んだ暖かい空気は、そこにある雲や雨を一掃します。

そのため、台風の目に立つと、空には太陽が見えるのです。

そして、台風の目が通り過ぎた後には、今度は風向きが反対の強い嵐が吹き込んでくるのです。

この台風の目は、気象予報士にとって、暴風雨の強さを予想する手がかりになります。

排水溝をゆっくり回っている水がはっきりとした空洞の円錐を形成しないのと同じように、渦巻きがあまり速くないハリケーンは、空気を中心に引き込むほどには空洞になりません。

つまり、台風の目がはっきりと現れないのです。

しかし、中心がくっきりと表れ始めれば、空気がより速く渦巻いている、つまり台風が強まっていることがわかります。

参照元:Inside The Sunny Center of a Hurricane