鍾乳洞には、天井からつららのような岩が垂れ、地面からはタケノコのような岩が生えています。
これらにはとても楽しい名前がついています。天井にあるのは「鍾乳石(しょうにゅうせき)」、床にあるのは「石筍(せきじゅん)」と呼ばれるものです。
前回、洞窟の形成に水がいかに重要であるかという話をしました。
この洞窟の天井や床から生えているような奇妙な岩の構造も、水のおかげなのです。
以下に、洞窟の鍾乳石や石筍がなぜ、どのようにしてできるのか、砂糖水を使った簡単な実験をもとにその仕組みを紹介します。
鍾乳石や石筍は水によってつくられる
もちろんこれらの洞窟の鍾乳石や石筍は、生き物ではないので、植物のように成長するわけではありません。
ただ、時間が経つにつれて大きくなっていくだけなのです。
それは、洞窟の中を水が通っているおかげです。
岩は硬いから水では変化しないと思いますよね?
たしかに岩に水をかけても、ただ湿るだけで、何も変わらないように見えます。
しかし、それは、変化があまりにもゆっくりなために私たちの目で確認できないだけで、土地や岩は、確実に水によって変化します。
そして、それがどのように起こるかを確認するための実験方法があります。
水での変化を確認するための実験方法
調査に必要なのは、コップ一杯の水とスプーン数杯分の砂糖です。
まず、砂糖を観察して確かめることから始めましょう。
砂糖を手で触ると、砂のようにザラザラして、ちょっと硬い触感です。食べてみると、甘い味がします。
水道の蛇口から出した水には味がないことがわかります。そして、見た目は透明です。
では、水の中に砂糖を入れて、少しかき混ぜるとどうなるでしょう。
水の中に砂糖の破片が全く見えなくなりました。
砂糖は消えたように見えますが、実際には水の中にあります。その証拠に、食べると甘味を感じることができ、砂糖が溶ける前と溶けた後では重さも変わりません。
水によって、砂糖の粒がどんどん小さくなり、それが水の中に混ざって全体に広がったのです。
では、もう一度砂糖を見たい場合はどうすればいいのでしょう?
そのまま砂糖水の入ったグラスを長い間放置しておくと、水は乾いてしまいます(蒸発)が、砂糖は残っていますね。
砂糖はまだそこにあることが分かりました。
これと同じことが、洞窟の鍾乳石、石筍で起こっているのです。
砂糖水と同じことが鍾乳石と石筍で起こる
水が洞窟を作るとき、砂糖と同じように、岩をどんどん(溶かして)小さくしていきます。
この小さな岩のかけらが水に混ざって、見えなくなるんです。
そして、洞窟の天井にできた割れ目から水が流れ出ると、岩のかけらも一緒に流れ出てきます。
水が乾くと、岩の破片を残していく。
つまり、私たちの実験で水が乾くと、砂糖を残していくのと同じことが起こるのです。
水が地面に落ちる前に乾くと鍾乳石になり、地面に落ちると石筍になります。
長い時間をかけて、私たちの目で見るよりもゆっくりと岩の破片は積み重なっていき、まるで岩の氷柱のように、どんどん伸びていくのです。