今回は、脳への錯覚を利用した自分だけの「ゾートロープ」の作り方を紹介します。
日本では、回転のぞき絵とも呼ばれ、筒の内側にアニメーションのコマのように絵を描いて回転させ、それをすきまから見ることで絵が動いているように見える装置です。
みなさんは、アニメの醍醐味は脳の中で繰り広げられるって知っていますか?
アニメは、たくさんの絵が集まってできています。
その絵を次々と超高速で見せると、まるで絵が本当に動いているように見えているだけなのです。
それを「アニメーション」といいます。
でも、絵は本当に生きているわけでも、動いているわけでもありません。アニメーションは見る人の脳にちょっとした思い違い「錯覚」を起こさせているのです。
ゾートロープを作ろう
筒の内側に描いた絵を、高速で回転させたものを見るだけでは、ただのぼやけた絵になります。
そのため、ゾートロープには小さなのぞき穴があいているのです。
穴のすきまを通して、それぞれの絵を見ると、1枚1枚の絵の後に黒い空間が見えます。
さっそく自分だけのゾートロープを作ってみましょう。
用意するもの
- 黒い画用紙
- 白い画用紙
- 25cmくらいの丸い段ボール紙か紙皿
- はさみ、黒いテープ、定規、消しゴム付の鉛筆
作り方
台紙となる丸い段ボール紙の真ん中に鉛筆が1本通るくらいの小さな穴を開けます。
次に、白と黒の画用紙を使ってゾートロープの壁を作ります。
まず、黒い紙を縦長に切って、丸い段ボール紙の周りをぐるりと一周できる(約78.5cmの)細長い帯状になるように黒いテープでつなげます。
そして、のぞき穴用の隙間を作っていきます。
黒い帯の上半分に、幅約3ミリの隙間を約4cm間隔で13本入れます。
次に、絵を描く部分を白い画用紙で作ります。
白い画用紙も黒い画用紙と同じように帯状にします。このとき、筒の高さが黒い紙の半分になるように幅を短めに切ってください。
白い帯に、端から4cm間隔で線を入れ、13個の長方形を作りましょう。
さて、いよいよアニメの絵を描いていきます。
アニメーションは回転しながら繰り返すので、飛行機が離陸して戻ってきたり、人が帽子を脱いでかぶったり、鳥が羽ばたいたりするような、最初の場所で終わるアニメーションにするとよいでしょう。
それぞれのコマは、前のコマと同じような感じで描き、少しだけ変化をつけます。
たとえば、鳥が羽ばたくアニメーションにするなら、羽が、それぞれの長方形でほんの少し上下に動くような感じで変化をつけると、より滑らかに動いているように見えます。
絵が完成したら、のぞき穴の隙間を上側にして、黒い紙の下半分に白い紙をテープで貼り付けます。
そして、絵が内側になるように、台紙の周囲にテープで貼りつけます。
台紙の真ん中の穴に消しゴム付の鉛筆を入れ、消しゴムの部分が段ボール紙に引っかかって落ちない程度までさしこみます。
鉛筆の部分を持って、筒を回転させてください。ア二メーションが動いて見えるでしょう。
ゾートロープの仕組み
そもそもどうして絵が動いて見えるのでしょうか?
ゾートロープでは、2つの錯覚が脳に起こります。
のぞき穴のすきまから見ると、絵の各コマの間には、何もない空白の黒い部分がありますが、回転スピードを上げることで、脳はその空白の時間に気づかなくなり、絵が動いてアニメーションのように見えるのです。
これが最初の錯覚です。
2つ目の錯覚は、分割された絵を見て、脳が「絵が動いている」と錯覚することです。
脳は絵にしか気づかないため、1つのコマと次のコマの間の空白を埋めて、鳥が飛んでいるような意味のあるものに勝手に変えてしまうのです。
このようにして、1つのコマが目に与える影響は、次のコマが現れるまで続くのです。