飛行機のトイレを使ったときに、一体どこに流れていくのかと疑問に思ったことはありませんか?
「もしかして、空から放出するの?」と頭をよぎった人はご安心を。
飛行機での汚水処理はきちんと行われています。
消毒液とともに機内にある汚水タンクに貯められてから、空港到着後にタンカーに吸い込まれ、その後投棄される仕組みです。
ただし、重量とスペースを節約しなければならない航空機では、汚物の処理も地上のようにはいきません。
実のところ、米国では1979年から2003年の間で少なくとも27件もの航空機からの汚物落下事件が記録されています。
以下に、限られた条件下で工夫された飛行機の下水システムについて見てみましょう。
飛行機の下水システム
飛行機では、下水処理システムのために使えるスペースは限られています。
また、重量が重くなると燃費にも影響するので、水もほとんど使用できません。
そのための手段として、強力な吸引力でごく少量の水のみを使用して排泄物をタンクまで運搬できるように工夫されています。
高度差を利用した吸引力
飛行機が飛ぶ高度は、約10,000mといわれ、地上と同じ環境ではありません。
飛行機が飛ぶ上空での外気圧は地上より低く、約0.6気圧もの差があります。
空気は、気圧の高いところから低いところに向けて流れるため、もし機体に穴が開くと、(気圧を高く調整されている)機内から(気圧の低い)外へ吸い込まれるようにして空気が流れていきます。
この空気の流れを利用して、トイレを流すレバーを引くと、貯蔵タンクにある(外気へつながる)小さな空気穴が開き、排泄物が気圧差で(低い気圧のタンク内に)一気に吸い出される仕組みです。
そして、飛行の終わりに、貯蔵タンク内の汚物と消毒液の混合物は空港のタンカーで吸い出されます。
その後投棄されますが、実のところ、機内浄化槽からの漏れは時々起こるようです。
その場合、ほとんどが空中でばらばらに分解されるようですが、まれに地上への落下事件は起きているようです。