イーロン・マスク氏は、火星を爆発させようといいました。
実は、これには理由があり、火星を人が住みやすい星にしたいなら、極地に核爆弾を落とせばいいんだそうです。
つまり、火星を人間が生活できるようにする、あるいは、少なくとも人間が生活するのに快適な惑星にする試みの一つということです。
この爆発は、火星の大気に大量の熱を加え、極地の氷に閉じ込められている水と二酸化炭素を放出するという二重の効果をもたらします。
しかし、これには残念ながら問題もあります。
以下に、火星を人が住める惑星にするための試みと問題点について詳しくみていきましょう。
火星を「テラフォーミング」できるか?
水と二酸化炭素は、どちらも温室効果ガスとしての影響力があります。
すると火星の温度は上がるので、かなり長い間、おそらく人間が地表にさらされたとしても、死なない程度に暖かくなるはずです。
人類が住めるように地球以外の天体の環境を作りかえることを「テラフォーミング」といいます。
火星でこのテラフォーミングがうまくいく方法もあるかもしれません。
しかし、マスク氏のアイデアにはかなり多くの問題があります。
火星を作りかえるうえでの問題点
第一に爆発によって火星を今以上に放射能汚染させるということです。
火星の風はとても強く、この爆発による電離放射線は、火星探査の最大の課題を1つ増やすだけです。
それは、酸素の不足でも、気圧でも、住みやすい温度でもなく、磁場の不足という問題です。
地球では、磁場が太陽からの有害な放射線が地球に届かないように防いでいます。
大気もそれを助けてくれますが、磁場は重要です。
私たちの体は、この磁場に守られた地球で生きるために進化してきました。
そのため、磁場がない場合、例えば宇宙にいるとき、私たちの体は特にうまくいきません。
DNAはイオン化し、臓器はダメージを受けるでしょう。
すぐに死ぬわけではありませんし、大気中に二酸化炭素と水があれば、もっと住みやすくなりますが、火星の住民の寿命は確実に短くなるでしょう。
火星探査の問題
さらに、1つや2つではなく、たくさんの爆発が火星で起これば、私たちの科学の目標も大きく狂ってしまいます。
火星探査で知りたいのは、生命が存在できるかどうかです。
そのためにも、私たちが宇宙を研究し、よく分かっている惑星のサンプル数を1つから2つと少しずつ増やしていく必要があります。
特に、よく分かっている生物のサンプル数を1つから2つに増やすことができれば、火星に生命体がいる可能性のあるないにかかわらず、人類が住める可能性は高まります。
そのため、火星を研究する前に、生態系に大きな変化をもたらすのは一番避けたいことです。
最後に、火星の居住可能性に関する最大の問題点に触れていきましょう。
過塩素酸塩の問題
これは近年確認されたばかりの過塩素酸塩の問題です。
4つの酸素に結合した塩素原子と金属とのイオン化合物です。
過塩素酸塩は火星の至る所にあり、それは生物の細胞にはとても有害な量です。
火星の土には平均して1%程度の過塩素酸カルシウムが含まれており、少量でも非常に強い酸化剤となり、体内の内分泌系をコントロールする甲状腺に干渉し、多量の場合は肺や目、皮膚を焼きます。
火星の塵は至る所にあります。この過塩素酸塩を含んだ小さな小さな塵の粒子は、絶えず舞っています。
粒子がとても小さいので、服についたら洗い流すのは困難です。
火星の表面は汚染されており、たとえ液体の水が存在したとても、過塩素酸塩が含まれていれば生命の生息には適さない可能性があります。
しかし、悪いニュースばかりではありません。
良いニュースは、過塩素酸塩は優れた酸素源であり、燃料として燃やすこともできることです。
単純な生化学反応によって、塩化物を無害化し、酸素を放出できます。
つまり、地球から火星に酸素を持ち込む必要がないのです。
これは、火星の生態系にとって、重要な要素になるかもしれません。
過塩素酸塩を消費するバクテリアも存在するため、過塩素酸塩が火星の生態系に重要な役割を果たしている可能性もあります。
参照元:nuke Mars!