銀河系の中心はなぜ明るく輝いているのでしょうか?
もし、私たちが中心に近づいたら、そこからの夜空はどのように見えるのでしょうか?
そもそも私たちは、銀河の中心で生きていけるのでしょうか?
星が飛び交う壮大な景色を見たいなら、星雲の真ん中に地球をテレポートさせるのが一番かもしれませんが、どうやらそこには想像を絶する世界が待ち受けているようです。
以下に、もし地球が銀河系の中心付近に移動したら何が起きるかを見ていきましょう。
太陽系は天の川銀河系にある
晴れた夜、夜空に広がる星の帯が見えますか?
あれが私たちの住む銀河系、天の川銀河です。
私たちの太陽系は、銀河の中心で起こっている楽しい出来事から遠く離れた位置、中心と端の中間ほどにあるため、地球からはその一部が天の川の帯としてもやっと見えるのです。
天の川銀河は10万光年ほどの大きさで、何千億もの星が渦を巻いた円盤のような形をしています。
棒状の光を中心に4本の大きな渦巻き状の腕(たて・ケンタウルス腕、ペルセウス腕、じょうぎ腕、いて・りゅうこつ腕)が取り囲んでいる構造。
これは、宇宙のほとんどの銀河がそうであるように、棒渦巻銀河(ぼううずまきぎんが)と呼ばれるものです。
天の川銀河の中心からはるかに離れたところに位置する地球
もし地球が荷物をまとめて天の川銀河の中心に移動したら、地球上のあらゆる生命体の生存はかなり危うくなるでしょう。
しかし、それは銀河中心にあるといわれる超巨大ブラックホールのせいだけではありません。
地球は、天の川の最も小さな支流のひとつ、オリオン渦状腕(直径約3500光年)にある静かな地域に位置しています。
それは、天の川銀河の中心から約2万7000光年の距離にある住みやすい場所です。太陽系は、銀河の中心の周りを毎秒200kmの速さで、約2億年かけて一周していると考えられています。
地球の気温は生き物の生命維持にちょうどよく、宇宙には、私たちの存在を脅かすような危険な要素はあまりありません。
たしかに、恐竜を含む多くの生物種を絶滅させた小惑星の衝突という歴史を考えると安全とは言い切れません。
しかし、天の川銀河の中心付近で生活するのよりははるかに住みやすい地域です。
銀河中心はどうなっているのか?
天の川銀河の中心に近づくほど、星は大量に生まれ、高密度になっています。
星の密度が高いため、地球は現在の太陽よりも多くの放射線を浴びることになります。このような環境では、生命が進化する確率はかなり低いでしょう。
しかし、それでももし地球が全人類と一緒に中心部に移動してしまったら、とても不運なことになります。
地球の磁気圏は、四方八方から降り注ぐ宇宙線から身を守ることができなくなります。
その結果、地球の気候が変わり、地球上のあらゆるものが突然変異を起こすか、絶滅してしまうかもしれません。
もし生きていたら、一番心配なのは超新星に遭遇することでしょう。
超新星は、巨大な星が崩壊して、電波、X線、宇宙線、ガンマ線などを宇宙空間に放出することで発生します。
そのため、超新星爆発によって、地球が太陽の軌道から外れてしまう可能性もあるのです。
地球はたくさんの星に囲まれ、その星が超新星爆発を起こし、地球は永久に消滅してしまうことも。
しかし、地球から見ると、一瞬ではありますが、それは壮大な光景に見えることでしょう。
ブラックホールの周り
天の川の中心には、「いて座A*(エースター)」と呼ばれる超巨大ブラックホールがあり、これも大きな脅威となります。中心の周りでは、たくさんの恒星がものすごい速さで公転しています。
ブラックホールに吸い込まれるのは嫌だという人は、今の地球に存在できてラッキーです。
地球はブラックホールから十分に離れているので、この宇宙の獣に飲み込まれることはないでしょう。
しかし、ブラックホールの軌道に巻き込まれるくらい近づくことはできます。
ブラックホール事象の地平線から200億km(120億マイル)離れた地点では、地球は時速2500万kmに達する可能性があります。
これは、私たちの地球が今動いている速度の230倍以上の速さです。
地球は奇跡の星
いかがでしたか?
地球は、今いる場所に最適なように設計されています。
惑星にとって最も危険な場所は、銀河の中心に近い場所。これはどんな銀河でも同じです。
今の位置に地球があることに感謝せずにはいられないのではないでしょうか。