雷を電気に利用することはできるのか?

雷を電力源にできないか?自然科学・地球科学

ギリシャ神話の雷神ゼウス。 神々の王であるだけでなく、彼は雷を意のままに操ったことで知られています。

技術に精通した人類は、その足跡をたどることができるのでしょうか?

この素晴らしい自然の力を利用して、家庭や産業に電力を供給することはできるのでしょうか?

間違いなく、雷は驚異的なエネルギー源です。

しかし、雷からエネルギーを集める技術の実用化となると、以下のような厄介な問題がたくさん存在します。

雷はどうやって発生するのか

稲妻がなぜ、そしてどのように発生するのか、正確には少し議論の余地が残されていますが、稲妻は雷雨の下降気流と上昇気流の間で発生するというのが一般的な考え方です。

軽い粒子は雲の上側に移動してプラスに帯電し、重い粒子は雲の下部に移動してマイナスに帯電する。

雷の発生方法

この電荷の差の蓄積が十分に大きくなると、これらの領域の間で雷が放出されると考えられています。

実際には、稲妻のほとんどは雲の中で起こりますが、一部の稲妻は外に出て地上に降り、火災や負傷、大混乱を引き起こすことがあります。

雷のエネルギー

雷は明るいだけでなく、とても熱く、その温度は摂氏27,000度、なんと太陽表面の5倍近い温度です。

雷はまた、10億J(約300kWh)以上のエネルギーを運ぶことができます。

ほんの一瞬で約10軒の家庭で一日使用されるほどのエネルギーが蓄積されることもあるほど。

雷からエネルギーを採取することへの問題点

莫大なエネルギーを運ぶとはいえ、雷からエネルギーを取り出すのは簡単ではありません。

稲妻からエネルギーを取り出すには、いくつかの制約があるからです。

稲妻は10億ジュール以上のエネルギーを持つといっても、すべての稲妻が同じように作られているわけではありません。

落雷の中には、予報よりも危険なほど高いパワーを持つものもあれば、あまりパワーのないものもあります。

そして、落雷が集中する地域もあれば、雷とはほとんど無縁の地域もあります。

さらに、落雷がどこで、どのような強さで起こるかを事前に予測することはできません。

そのため、瞬間的なエネルギーのボルトを捕獲し、保存することははるかに難しいのです。

雷雨がいつどこで発生するかを正確に予測できない

雷の発生地域の分布図

毎年何百万もの落雷が発生しているにもかかわらず、落雷の地理的分布はとても偏っています。

落雷のほとんどは熱帯地方や人里離れた山岳地帯で発生しているようですが、このような場所で最先端のエネルギー貯蔵・変換システムを設計・設置することは、経済的な観点からさらに困難です。

もし、雷が発生しそうなところが分かっても、嵐の中を正確にどこに落ちるか予測することはとても難しいのです。

最後に、技術的制約についてみてみましょう。

技術的問題

落雷を吸収して電気エネルギーに変換し、家庭や産業に便利に電力を供給することは、難しい工学的作業なのです。

なぜなら、雷は大量のエネルギーを一度に放出するからです。

コンデンサー、トランジスター、バッテリー、IC、フライホイールなど、私たちの電子機器や部品のほとんどは、このような急激な電力サージに耐えられるようには設計されていません。

したがって、私たちは電気機械を完全に刷新し、強力な落雷に耐え、そこから効率的に使用可能な「雷のパワー」を取り出すことができる複雑な電力システムに置き換える必要があります。

毎年何千人もの人々が雷で命を落としていることを考えると、その安全性に十分な確信がない限り、雷から電力を取り出すために多くの命を危険にさらすことはできません。

さらに、落雷と同時に充電できる急速充電バッテリーを設計する必要もあります。

稲妻発電システムの開発に関連するこれらすべての課題が、雷から意味のある量のエネルギーを利用することを制限しているのです。

雷を利用した電力システムへの取り組み

このような高いハードルがあるにもかかわらず、人々は過去に試行錯誤を重ね、現在も雷からエネルギーを採取するメカニズムをテストしています。

2000年代半ばには、イリノイ州の発明家スティーブ・ルロイという研究者が、人工的に発生させた雷で60わっとの電球を20分間点灯させたとされます。

オルタネート エナジー ホールディングス社 (AEHI)がルロイからこの設計を買い取り、「雷からエネルギーを得る」挑戦を始めました。

彼らは、落雷の多いヒューストンで、稲妻発電事業に取り組みましたが、失敗に終わります。

雷を予測可能な場所に落とす試み

2000年後半、フランスの科学者グループが、雷の多発地帯として知られるニューメキシコの砂漠で、レーザーを使って雷をコントロールしようとしました。

高出力レーザーによって雷を地上ステーションに誘導して採取することは理論的には可能性が高くなります。

しかし、レーザーで雲中の電気活動を増加させることはできましたが、稲妻は期待したところでは起こりませんでした。

そして、現在も、雷を使用可能なエネルギーに変換できる高度で安全かつ効率的な電力システムの探求は、世界中で続いているようです。

雷を電力源にするための問題点については以下の動画で見ることができます。

Can We Harness Electricity From Lightning?
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