皆さんは世界一くさい花としてギネス記録に認定されている花をご存知ですか?
その名も「ショクダイオオコンニャク(別名スマトラオオコンニャク)」。実はこの花、世界一背丈の高い花としてもギネス認定されています。
ユリやバラ、ライラックのように、いい香りのする花がある一方で、ショクダイオオコンニャクのように強烈にくさい花もあるなんて不思議だと思いませんか?
そこで今回は、花にとって「におい」とはどのような意味があるのかについて紹介します。
世界一くさい花ってどんなにおい?
ショクダイオオコンニャクのにおいについては、ある人はおむつのくさいといい、腐った肉や古い卵のにおいだという人もいるほど。
英語では「corpse flower(死体花)」とも呼ばれています。
お世辞にもいい香りではありません。とにかく、本当にひどいにおいだそうです。
しかし、たとえショクダイオオコンニャクがいい香りでなくても、他の甘い香りのする花との共通点はあります。
「花」を咲かす植物であることです。
花を咲かせる植物「ショクダイオオコンニャク」
バラやユリやライラックと同じように、ショクダイオオコンニャクは植物の一種です。
移動はできず、一か所にとどまって成長します。
全長3.5メートルの記録をもつショクダイオオコンニャクですが、初めから背が高かったわけではありません。
ほとんどの植物がそうであるように、最初は土の中の種から始まりました。
条件が整えば、種は割れて、植物の一部が押し出されます。
これは「発芽」と呼ばれ、新しい植物の誕生を意味します。
植物から小さな根が出て、それが土の中に広がって水と栄養分が吸い上げられ始めると、芽がどんどん成長します。
そして、花を咲かせる植物であれば、つぼみと呼ばれる小さな突起を育てます。
植物が成長するにつれて、つぼみはゆっくりと開いていき、花びらが広がっていくのです。
ショクダイオオコンニャクがこれほどまでにくさい理由はこの花にあります。
花は植物が子孫を残すうえで重要
花は植物が繁殖したり、新しい植物を作ったりするのにとても重要な手段です。
花は、鳥やハチ、ハエや甲虫類(こうちゅうるい)のような動物を匂いで引き寄せます。
動物たちは花に近づくと、エサとなる花蜜や花粉の匂いの元を探します。
花の中に誘い込まれた動物が、オシベにある「花粉」と呼ばれる粘着性のある粉をたくさん体につけたまま移動し、運んできた花粉を別の花のメシベにつけることで、新しい種ができるのです。
そして、その種は成長して新たな植物に。
これを受粉といい、花粉を運ぶ動物を「送粉者」といいます。
花と送粉者の深い関係
地球上では、24万種にもなる花を咲かせる植物の多くが、これらの送粉者に依存して繁殖しています。
なかにはハチのように、花の中で体をはげしく振るわせて、その振動によって花粉を飛ばす「振動送粉」という方法で効率的に受粉する送粉者もいます。
現在、20万種以上にもおよぶ送粉者がいますが、彼らは1億3000万年も前からさまざまな方法で花の受粉を助けてきたと考えられているのです。
くさいにおいを好む送粉者
受粉を媒介する「送粉者」の中には、バラのような甘い香りのする花だけでなく、くさいにおいのする花を好む種もいます。
腐った肉や動物の糞で繁殖するハエや甲虫類などです。
特に糞虫やシデムシのような甲虫類は、ショクダイオオコンニャクのようなくさいにおいが大好物。
私たちには動物の死体のようなくさいにおいですが、彼らには食欲をそそるごちそうのにおいなのです。
奇妙なくさいだけでなく、ショクダイオオコンニャクはあまり開花しないのも特徴のひとつ。
中には10年に一度しか咲かず、悪臭を放った後、1日も経たずに閉じてしまうものもあります。
それがショクダイオオコンニャクのような植物が咲くと、たくさんの人が列をなして見物に訪れる理由です。
いかがでしたか?
世界一くさい花のにおいは、植物が子孫を残すのを助けていることがわかりました。
どんなにくさいても。