種はなぜ発芽のタイミングが分かるのか?

種はなぜ発芽のタイミングが分かるのか?動物・生き物

種がどのようにして発芽時期を知り、植物に成長していくのかについて、植物がもつ優れた感知能力を中心に紹介します。

みなさんは種と聞くと、一番に花や植木の種を思い浮かべるかもしれませんが、実はスナック菓子に入っているヒマワリの種、ポップコーンのコーン、豆、えんどう豆、どんぐり、お米も種だと知っていますか?

さそく以下に種の仕組みをみていきましょう。

種の仕組み、種はなぜ発芽のタイミングが分かるのか

まず、種にはいろいろな形や大きさがありますが、すべて3つの部分からできています。

種皮と呼ばれる外側の殻、種子の中にあると呼ばれる小さな植物の赤ちゃんと、胚が成長するための栄養分(食べ物)となる胚乳の部分。

実は、種皮にはとても重要な役割があります。

種子全体を覆い、中にある小さな赤ちゃんの植物を乾燥や低温など外部の刺激から守ることはよく知られていますが、

驚いたことに、他にも、種皮には、優れた感知能力まで備わっていることが分かってきました。

なんと種皮には特別な化学物質が含まれており、種が成長を始めるのに適した場所にあることを知ることができるのです。

種が発芽するために必要なもの

例えば、トレイルミックスに入っているヒマワリの種やカボチャの種。

これらの種は、袋の中でレーズンやチョコチップに囲まれていては成長できません。

芽を出してない種子は、たとえ生きていたとしても、眠っているようなもので、代謝や細胞分裂などが行われず、正常な生命機能が一時的に停止したり、低下したりした状態なのです。

種子の中には、何百年、何千年もこの休眠状態が続くものもあります。

すべての種子は、成長するために、水、適切な温度、空気(酸素)が必要です。光に当たることで発芽(光発芽種子)する種もいます。

発芽条件は植物によって異なりますが、種子がこの条件を満たし、湿った土に植えられると、胚(植物の赤ちゃん)は成長開始の信号を受け取るのです。

植物の場合、この成長過程を「発芽」と呼びます。

他にも、適切な光(の波長)、一定の期間を低温で過ごすなど、その植物の育つ環境によって発芽の条件が異なることもあります。

種が休眠から目覚めて成長を再開「発芽」

成長に必要な条件がそろい、発芽のタイミングを感知した種は、まず、種皮から胚に水を通し、休眠状態から目覚めさせます。

植物の発芽プロセスは、給水によって始まるのです。

ただし、胚が成長するためには、水だけでは不十分。

太陽の光を浴びて植物が自分の葉で食べ物を作るようになるまでは、養分がたくさん蓄えられた胚乳からのエネルギーに頼らざるを得ません。

小さな植物の赤ちゃんは、自分のリュックサックにお菓子を入れているようなものです。

水分を吸収した胚は、植物ホルモンを合成して、胚乳に蓄えられたデンプンや脂肪、タンパク質などの貯蔵物質を代謝して、成長に必要なエネルギーを得て細胞分裂を始めます。

このようにして成長を始めた胚は、種皮を割る日まで、より多くの水分を取り込みながら成長し続けるのです。

幼い根が生まれる

種子から出てきた植物の最初の部分は、足のような根です。

胚は足のような根を蹴り出して種皮を割りますが、その足は、私のものとは全く違います。

種をどのように植えても、根は必ず下に向かって伸び、成長した植物に与える水とミネラルを求めて土の中深く入り込んでいきます。

つまり、植物は、どっちが上でどっちが下かが、実際にわかっているのです。

この根っこにはもう一つの仕事があります。

植物が倒れたり、風で吹かれて飛んでいかないように支える役割です。

そして、最初の子根が土の中に入り込んだ後、種子からは、別の部分が今度は反対方向に飛び出してきます。

植物の種類によっては、根よりも先に幼い芽が出る種もありますが、基本的には、胚の成長に必要な水分を十分に確保するために、根が先に出ます。

幼い芽が出る

将来的な植物の茎(胚軸)の先っぽにある幼芽は、葉(子葉)の間から日光に向かって押し上げられます。

土を突き破って上空に出てくると、植物は胚乳を必要としなくなり、自分で食べ物を作れるようになります。

胚乳を必要としなくなった若い植物は、十分な水と日光、そして、適切な温度があればさらに成長を続けて大きくなり、葉を増やしていくのです。

いかがでしたか?種子が発芽のタイミングを感知して、根や芽を成長させる仕組みはとても興味深いものですね。

次に、一握りのヒマワリの種を握ることがあれば、まるで一面の花畑を手に入れたような気分を楽しんでみてください。

参照元:How Does A Seed Become A Plant?