地球上から昆虫がいなくなると、何が起きるのか?

2019年9月 5日

人間は文明を築いたかもしれませんが、世界を支配しているのは昆虫です。地球上で知られるすべての種の半数以上は昆虫なのです。

もし、それらの虫すべてが突如、地球上から姿を消した場合、私たちの住む世界は一体どうなってしまうのでしょうか。

夏の風物詩ともいえるセミの鳴き声、ホタルの光はどこにもありません。

リンゴや桜、桃の木を受粉するミツバチもいないため、誰もハチミツをつくらなくなります。昆虫のない世界とは、食料品店の棚が空っぽの世界を意味すると言っても決して大げさではないのです。

しかし、私たち人類にとってそれはまだ問題の始まりに過ぎません。

実際に、昆虫がいなくなると何が起こるのかを正確にいうことは不可能かもしれませんが、ここではそれを文明や生態系に及ぼす問題を中心に、考えられる最悪のシナリオをもとに紹介します。

生態系が崩れる

昆虫のなかには、姿を消すと多くの人が喜ぶであろう種がいます。

たとえば、蚊です。マラリアやウエストナイル熱をはじめ、その他の病気を伝染させる蚊は、毎年数十万人の命を奪っています。

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しかし、地球には3,000種以上の蚊が存在し、彼らが実際に生態系に果たす役割を考えた場合、明日、蚊が一斉に姿を消してしまうとなると少し厄介な問題が生じます。

蚊は、鳥やコウモリ、カエル、その他の動物のエサとなるため、蚊がいなくなることは、蚊をエサとする生き物や、(食物連鎖で)それを食べる動物が空腹になることを意味します。

実は、同じことが皆を恐れさせているゴキブリにも当てはまります。

一部の鳥やネズミの仲間、両生類、爬虫類、さらには一部の地域の人間にも、タンパク源としてゴキブリは食べられています。

おそらく、4,400種にもおよぶすべてのゴキブリを失った場合、生態系全体が生き残るための条件は厳しくなるでしょう。

信じられないかもしれませんが、生態系への影響にとどまらず、世界は、糞便(ふんべん)問題によってそれよりもさらに深刻な問題を抱える可能性があります。

糞便(ふんべん)問題

原因は、世界最大のリサイクル業者の1つであるフンコロガシにあります。

過去の歴史には、この糞便問題を正確に物語ったできごとが起こりました。

1788年に、イギリス人はオーストラリアに牛を持ち込み、これらの牛は、その地にたくさんの糞をしました。

牛は、一頭あたりそれぞれに毎年5つのテニスコートを埋めるのに十分な糞をします。

しかし、英国のフンコロガシ(糞虫)は牛のやわらかい糞を食べて分解しますが、オーストラリアに本来生育していたフンコロガシは、カンガルーといった有袋類の乾燥した繊維質の硬い糞だけを食べて進化してきたので、牛の糞は分解できませんでした。

その結果、オーストラリアの地には、牛の糞が蓄積されていきました。1960年までに、畜牛は、500,000エーカー(約2,023平方キロメートル)にも及ぶ牧草地を糞で敷き詰めました。

それは、滋賀県のほぼ半分を覆うのに十分の広さです。

糞は、少量であれば植物の肥料となりますが、これだけ蓄積されると、大地には窒素があふれかえり、植物の成長を不可能にします。

オーストラリアでは、最終的に、この問題に対して、世界各地から多くの種類の糞虫を導入して成果を上げることができましたが、地球上から虫が消えるとなるとそうはいきません。

世界には、8,000種におよぶ糞虫がいますが、それに加えて、ハエやシデムシなど糞を食べる昆虫がすべて消滅したときを想像してみてください。

植物の成長阻害、疫病の流行、衛生的な問題、あまり想像はしたくないことですが、糞が蓄積して土地は私たちの膝まで埋まり、結果的に農地や森林、砂漠はすべて崩壊するでしょう。

そして、そこをゆっくりと流れて行くのは大量の死体です。

昆虫がいなくなった世界の終結

ご存知のように、ほとんどの動物は死肉を食べません。

死体を分解できる生き物のほとんどが、カツオブシムシをはじめとする腐肉食性の昆虫によるものです。カツオブシムシは、骨を残して動物のタンパク質(死肉)を食べることから博物館などで、骨格標本をつくるためにも利用されています。

これらの恐ろしい死体請負業を担う昆虫は、500種以上にも及び、世界中で生育しながら、動物の死骸から死肉を食べつくして骨だけにしています。

自然界における掃除屋、糞虫や腐肉食性の昆虫の役割は大きく、彼らがいなければ、美しい地球を管理することは不可能だといえます。

もちろん、空腹のハゲタカやバクテリアも助けになりますが、実際には、それだけでは不十分なのです。

糞便と壊れた建物や枯れ木の海にただよう死体。これが、私たちの住む地球に、昆虫がいなくなった世界に関するシナリオの終結のようです。

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