雲(水蒸気が水滴になる)ができるには、空気中のホコリやチリ、砂粒など核となる小さな粒が必要だって知っていますか?
実際、これらの小さな粒がなければ、水蒸気はそれ自体で水滴に凝縮することができないので、雨は降らないといわれています。
でも不思議だなぁ。水分子はお互いにひっつきあう性質があるはずだよね。小さな粒がなくてもお互いにくっついて大きな水滴になれるのではないの?
たしかにそうですね。しかし、水分子の小さな集まりが水滴ほどの大きさに成長するするには、ある条件が必要なのです。
今回は、なぜ雨が降るにはチリやすす、砂の粒などの小さな不純物が必要なのかについて、雨粒や雲をつくるための条件を中心に分かりやすく紹介します。
雨の粒はどうやってできるのか?
以前雲のでき方で紹介したように、
空気は、温度が低くなると少ししか水蒸気をふくめなくなるため(一定の体積内に最大限含むことができる7水蒸気の量:飽和水蒸気量が減る)、水蒸気が小さい水の粒あるいは氷の結晶になります。
これらの水や氷の粒が私たちの目には雲として見え、この雲の粒同士がぶつかって(上向きの風では支えられなくなるほど)より大きな水滴になり、地上に落ちることがあります。それが雨。
つまり、雲や雨ができるには、一定の水蒸気量と温度が必要です。
しかし、実際には、これだけでは不十分で、雲の成分「水」は、時が経てば空気の中に消えてしまいます。
雲や雨の粒(水蒸気が水滴になる)ができるには、「凝結核(ぎょうけつかく)」という核となる小さな粒(チリやすす、チリ、粘土や砂の粒など)が必要だからです。
チリがないと雨の粒をつくれない理由
空気中では、気化した水の分子は常に衝突してくっつきあっていていますが、同時に結合がひき離されてもいます。
水分子同士の結合を破壊する熱エネルギーのおかげで、常にばらばらになっている(分解)のです。
実際には、空気が露点温度(水蒸気が水になる温度)と呼ばれるポイントを超えて冷えると、水分子の小さな集まりが水滴に成長するのに十分なほど、この分解が緩やかになります。
しかし、それは、水分子の集まりがもともと大きい場合にのみ当てはまります。
水分子の集まりが小さすぎると、水分子の表面のカーブがきつくなるので(円が小さい)、結合できるような隣り合った水分子が少なくなり、結合は簡単に壊れてしまいます。
そのため、露点以下であっても、水分子の塊全体としては、外からの分子を獲得するよりも既にある水分子を失う可能性の方が高くなります。
つまり、ある臨界サイズまでは、水分子の塊が収縮する確率の方が、成長する確率よりもずっと高いということです。
そして残念ながら、この臨界サイズは1億5,000万個もの水分子の塊と考えられています。
そんなにたくさんの水分子が必要なのね
また、露点でゴルフボールくらいの大きさの空気中に、5個の水分子からなる塊が数百万個あるとして、そのなかで10個の水分子の塊の大きさまで成長する可能性があるのは1つだけ。
さらに、50個の水分子からなる塊を1つ見つけるには、直径16,000,000kmのゴルフボールが必要です。
これは、基本的に、水分子の塊が単独で1億5000万個に達することは決してないことを意味します。
自然界には雨の粒が発生する条件がそろっている
幸いなことに、現実にはそのようなことはなく、大気中を漂う何十億という細かなチリや埃、砂のひとつに凝結することによって、その臨界サイズから始まり、暗い雨雲をつくるほどの水滴になるまでどんどん成長することができるのです。
つまり、最終的には、水に囲まれた小さな土や砂の塊が、水に囲まれた大きな土の塊(地球)での生命活動を可能にしているのです。