雨のしずくは実際にどのように見えるのか?

雨粒は上がとがったしずくの形ではなかった自然科学・地球科学

雨粒が空から落ちるときにどのような形状を作り、なぜその形になるのかといった理由を理解することは、天気予報にも役立ち、最終的には気象モデルの形成にもつながります。

雨粒の形といえば、上の方がとがったしずくの形を思い浮かべるかもしれません。

しかし、落下する雨粒の形状を調べた研究では、一度もそのような形は見られませんでした。

では、雨のしずくがどのように見えるのか、実際の形や大きさをはじめ、なぜそうなるのかを以下にみてみましょう。

実験室での雨粒は球体だった

落下する雨粒の形状を厳密に研究した最初の実験は、1960年代にカリフォルニア大学ロサンゼルス校で行われました。

実験では、風のトンネルを使用して、空気を吹き付けることで落下の途中で水滴を浮遊させ、雨粒が落ちる様子が撮影されました。

すると、雨粒を模したしずくの上側はとがっておらず、ほぼ球状であることが分かりました。

実は、これは研究者らがあらかじめ予想していた形で、その理由は水の表面張力にあります。

なぜ雨粒が丸くなったのか?

水は、驚くほど粘着性のある分子で構成されています。

多くの場合、水分子が互いに引き合う力(引力)は、それらを引っぱる重力よりも強いため、水滴は下に落ちることなく壁や肌にくっつきやすいのです。

このように表面張力が水分子を互いに引き寄せることは、雨粒が丸くなる理由でもあります。

空から落ちる水分子は、互いに引き合って塊になるとき、塊の表面は内向きに引っ張られ、内部は全方向からかかる力が均衡しているので打ち消された状態「まるい形」になります。

水分子にとって、まるい形は、最も表面積が小さく安定した形なのです。

このように水が、気体と接する表面積をできるだけ小さくしようとするときに働く力表面張力といい、水は表面張力が大きいことで知られています。

しかし、この研究チームは、さらにおもしろいことを発見しました。

雨粒は丸い形を維持できなくなる

雨粒の下側が平らになる

雨粒は、異なる力が関わると、丸い形を維持できなくなるのです。

雨粒は、上空から落ちてくる間に、互いにぶつかり合ってだんだん大きくなります

はじめは、まるい形だった雨粒は、直径が約4mmになると、ハンバーガーのパンのように底が平らになる傾向があるのです。

この形は、雨粒が落下するにつれて下からの空気(抵抗)に押されてしまうからです。

そして、雨粒が大きければ大きいほど下からの空気抵抗は大きくなり、下側がより平らになります。

雨粒の形状とサイズに影響を与える要因空気抵抗だけにとどまりません。

電荷や、車からのすすなどのエアロゾルでさえ、雨粒の形に影響を与える可能性があります。

つまり、人間の活動も雨粒の形状に影響を与えているのです。

雨粒の大きさには限界がある

実際、このしずくの落下プロセスにはかなり多くの要因がかかわるため、雨の状態が異なれば、条件に応じて雨粒の形状も異なります。

激しい暴風雨のように、雨の量が多ければそれだけ、雨粒が大きくなる傾向があります。

しかし、それらの雨粒は大きくなりすぎると、水風船のように膨らんで、空気抵抗によって破裂したり、引きちぎられることがよくあります。

雨の条件で雨粒の形状は変わる

大雨の際に空気が特に不安定な方法で移動している場合、乱気流が発生し、雨粒が予測できない方法で押されたり、揺れたりする可能性があります。

そうなると雨粒はねじれ、ときには回転し、あらゆる種類の歪んだ形状になります。

雨粒同士がぶつかる時の形

1970年代にトロント大学で行われた研究では、雨粒の衝突が撮影されました。

研究者らは、雨粒同士がぶつかり合うときに、その形状が「sheet」「neck」「disk」「bag」と呼ばれる4つのカテゴリに分類されることを発見。

「sheet」は雨粒の衝突における最も一般的なタイプであり、小さな液滴が大きな液滴の塊を引き裂いて、逆さになったクラゲのように見えるときです。

雨粒がぶつかるときの「sheet」

一方、糸状体にもみえる細い構造をした「neck」の形は、小さな液滴が大きな液滴をかすめるだけで、しずくを引き裂く代わりに、大きな液滴から水の糸をひっぱるため、首長竜のような形になります。

雨粒の衝突時の形「neck」

次の「disk」の形状は、小さなしずくが大きな液滴の中心近くにぶつかり、波紋のように広がった状態です。衝突によって、液滴が離れる前に少し合体します。

雨粒の衝突「disk」の形

「bag」と呼ばれるとらえどころのない形もあります。これは、「disk」のなかでも完全な衝突によって引き起こされるのまれな変形です。その結果、雨粒は大きな塊になり、その後、より大きな液滴のシャワーが続きます。

70年代の雨粒の衝突に関する研究は4つのカテゴリにとどまりましたが、後から他の形状を説明することでリストは拡張されました。

たとえば、研究者らはdisk上に「crown(王冠)」と呼ばれる別のカテゴリーを足しました。

雨粒の衝突「crown」の形

これは、名前の通り、衝突した瞬間に雨粒は王冠のように見えます。

彼らはまた、衝突の余波もそれぞれの場合で異なることを発見しました

液滴が分離した後、さまざまなサイズとさらに多くの形状の液滴がつくられます。

しかし、シナリオがどうであれ、上の方がとがったマンガのような雨粒は一度も見られませんでした。

いかがでしたか?

このように、水の形を研究するだけで、学ぶべきことがたくさんあることがわかりました。

参照元:What Rain Drops Actually Look Like