中世にさかのぼること、鉱夫たちは、深く掘れば掘るほど高温になることに気づき始めました。
彼らが当時その熱をどう考えていたかはわかりませんが、物理学者の初代ケルヴィン男爵ウィリアム・トムソン(熱力学の第一人者)はある仮説を立てました。
地球は火の玉のような高温で始まり、オーブンから取り出した焼き芋のように、それ以来冷え続けていると。
さらに、ケルヴィンはこの考えによって、この惑星の年齢を計算できると確信していました。
たしかに、初期の地球は、焼き芋のように高温でしたが、次第に冷えていきます。しかし、地球の内部にはある熱源があり、その熱がマントルを対流させて温め続けているのです。
以下に、地下はなぜ高温なのかについて見ていきましょう。
固体化した地球は冷え続けている説
焼きたての焼き芋を2つ冷凍庫に入れてみます。
1分たったものはまだ熱い芋のように感じますが、30分冷やした芋は皮の下まで冷めているはずです。
このとき、中心部までつつくと温かさは残っているかもしれません。
つまり、原理的には、ジャガイモの表面下の温かさを感じるだけで、そのジャガイモがどれくらい前に調理されたかを知ることができるのです。
これがまさにケルビンがやったことで、彼は、これを科学的に厳密に行いました。
彼は鉱山で気温を測定し、それを計算して……地球の年齢を2,000万年くらいと導き出しました。
もちろん、それは大間違いです。
ケルヴィンには、地球が宇宙のオーブンから出たばかりのように見えたようですが、実際の地球の年齢は、約46億年と考えられています。
そして、このケルビンの誤りは、放射性物質の存在を知らなかったことに起因しています。
地球の熱源
地球が冷えずに今でも内部が高温であるのは、放射性物質が、地球のコアに大量の熱を生み出し、地球を暖かく保つのに役立っているからです。
地球の内部では、ウランやトリウム、カリウムなどの放射性物質が、放射線を出して崩壊することで、熱を生み出し続けています。
これは「放射性崩壊」と呼ばれ、この熱に変わった放射線のエネルギーはマントルや地殻をゆっくりと移動しているのです。
ただし、この熱源を考慮に入れてもケルビンの計算の答えはほとんど変わりません。
ケルビンの間違い
ケルビンが真に見落とした点は、地球を固体の焼き芋のように考えていたことにあります。
地球のマントル(地殻とコアの間にある厚い岩石層)は固体であるはずなのに、流体のように動く粘弾性体です。
実際、コアの溶融した外側の領域に最も近い岩石ははるかに熱くなり、まるで温められたロウソクのロウのようにふるまいます。
そして、ろうそくの上の熱い空気のように、暖かい岩石は対流に乗って上昇し、何百万年もの間、地球全体に熱を均等に広げるのです。
この対流は、コアから地殻へと大量の熱を運び、火山に燃料を供給し、プレートテクトニクスの推進を助け、鉱山坑道を温めて、地球がまるで宇宙のオーブンから出たばかりのような温度に温めるのです。
このように地下が高温である理由については以下の動画で見ることができます。