水は、その密度で人の命を奪うことができます。
私たちは、エッフェル塔の半分に相当する150メートルの高さまで登っても、ほとんど気圧の変化を感じられません。
しかし、同じ深さまで水中に潜れば、静脈はつぶれ、肺はコーラ缶の大きさまで圧縮されるでしょう。
海洋は地球の70%以上をカバーしていますが、ほとんどが謎に包まれたままです。
では、人間がもしSF世界のような海底都市での生活に対応するには何が問題となり、実現するには何が必要となるのでしょうか?以下にみていきましょう。
どうやら海底生活への課題は山積みです。
水の密度による圧力の問題
水は、空気の約830倍もの密度があります。
密度が高いだけ、水のもつ力も800倍になるため、このはるかに大きな水の抵抗によって水中では体を動かすために地上よりも大きな力が必要となり、動かしにくくなります。
さらに深く潜ると、強い水圧により、人間の臓器は変形してしまう可能性が出てきます。
わずか10m下で、体の全方位からかかる圧力は2倍になってしまうのです。
かつて、ウンベルト・ペリッツァーリは、人類初の素潜り130メートルに達し、約1ナノ秒の間留まり、そして上昇しました。
しかし、海の深さの平均約4,000m付近まで達する頃には、あなたの上にコンクリートトラックが数台積み重なっているような圧倒的な圧力がかかります。
そうなると私たちの身体の軟組織は圧縮されますが、それより大きな脅威が「気体」です。
体内の気泡が膨張
私たちが呼吸する空気の約80%を占める窒素は、高圧下では体の組織内で気泡を形成します。
そのため、高圧の深海からの急いで上がりすぎると、これらの気泡が急劇に膨張して血流を詰まらせてしまうため、肘や膝など「曲げられる体の部位」からの耐え難い痛みを引き起こしまうのです。
人は深海では生活できない
真っ暗で冷たい深海域には、極限の生育条件に完璧に適応した異世界の生き物がたくさん存在します。
しかし、私たちが真の水中生活を実現するには、人体を根本的に改造する必要があります。
潜水艇や潜水具を使って短時間だけなら海に潜ることはできますが、私たちの生理機能は地上の世界向けに設計されているためそのままでは生物学的に適応させていくことはできません。
海での生活への課題
今のところ、未知なる海の探索には、 機械やロボットを使用して慎重に探索しなければなりません。
しかし、人類が地上資源を使い果たしてしまった場合、 海洋開発が優先事項になる可能性もあります。
幻想的に思えますが、海底都市、あるいは、熱水噴出孔からの希少鉱物の採掘を想像してみてください。
もし、人類が水中で繁栄するように進化した場合 、私たちをまったく新しい種に変える極端な遺伝的変化が身体に起こっているでしょう。
心理的な問題
ただし、技術的および物流上の課題が解決された場合、人間は心理的に水中での生活に適応できるのでしょうか?
私たちの脳は、24時間の概日周期、視覚的な地平線、そして、地上の世界の刺激に適応しています。
そのため、水生社会になるためには、認識を大きく変える必要があるでしょう。
海の異質な性質は、恐怖を感じさせますが、はるか昔、最初の魚が 原始の海岸に這い上がり、現在私たちが享受している陸上のニッチを開拓しました。
もしかすると人類は、いつの日か帰還の旅をし始め、 文明を育む海の子宮に戻ることで、私たちの惑星の物語を完成させるのかもしれません。
参照元:in deep sea