一体海はどれほど深いのか?未知なる領域「深海」の世界

2017年5月24日

誰もが一度は「海はどれくらい深いのか」、「海の底はどうなっているのか」と不思議に感じたことがあるでしょう。

実は、地上で最も高い山「エベレスト」を、最も深い海底に沈め、その頂点に立ったとしても、海面はまだ1.6km以上も上。

暗くて深い海の底は、最新の科学をもってしても、ほとんどがまだ未知の領域だといわれています。

これは、予想よりもはるかに深い海の中をどんどん深く潜っていくと、そこにはどのような不思議な世界が広がり、どのような生物が生きているのかを水深別にイメージしやすいようにアニメーションで紹介したとても興味深い動画です。

水の成分や水圧、温度、酸素量などが、表層とは大きく異なる過酷な環境「深海」では、誰も知らないような数千もの生物が生存しているといわれています。

海の広さ

海は、地球上で生物が生存可能な空間の99%を占めています。

海水量をお風呂で例えると、縦と横、深さがそれぞれ1102.4km(685マイル)のバスタブいっぱいに水を張ったくらいです(13億4000万km3)。

表層

水深200mまでは、植物が光合成できるレベルの太陽光が届く領域です。一般的な海の生き物の多くは、この表層付近に生存し、これより下は深海と呼ばれています。

地球上で最大の生物だといわれるシロナガスクジラは、通常、水深100mまで潜って狩りを行います。

中深層(200mから1000m)

アメリカ海軍の原子力潜水艦「トライトン」は、1960年に、世界で始めて水深210mまで周航しました。

ちなみに、人間がもつ、フリーダイビング(素潜り)の世界記録は、水深約253m(831フィート)です。この地点での水圧は水面付近の26倍にも相当し、ほとんどの人の肺はつぶれてしまいます。

深海に住むダイオウイカをエサとするマッコウクジラは、狩りのために最大で水深約500m(1640フィート)まで潜ります。この深さは、英語でTwilight Zone(トワイライトゾーン:光が達することができる弱光層、または、中間地帯)と呼ばれています。

最新の攻撃型原子力潜水艦が潜れるのは、水深731.52m(2400フィート)に達しましたが、それ以上潜ると、潜水艦の船体は破裂してしまいます。

水深約830m(2722フィート)の地点は、世界で最も高いといわれる高層ビル「The Burj Khalifa」の地上から先端までの距離です。

漸深層(1000mから3000m)

水深約1kim(3280フィート)の地点は、太陽が決して届かない「midnight Zone(ミッドナイトゾーン)」と呼ばれ、ほとんどの生き物は、目が退化しており、見ることができません。

たとえば、水深2286m(7500フィート)の海底火山付近では、熱せられた海水で繁殖する目の無いエビがいます。この地点の海の温度は、約0.5度といわれ、氷ができるくらいの冷たさですが、熱水噴出孔付近では、約427度くらいまで温度が上がることがあります。

さらに深い水深2991m(9816フィート)は、ほ乳類が泳ぐ姿が確認された最深地点です。そのほ乳類は、キュビエ歯クジラと呼ばれ、深海を40分は泳ぐことができることが分かっています。

深海層(3000mから6000m)

キュビエ歯クジラでさえ潜れない深さに、タイタニック号は沈没しています。それは、水深約3810m(12500フィート)。この地点の水圧は、海面付近の378倍になりますが、ヌタウナギやタコ(Dumbo Octopusと呼ばれる地上で最も深い地点に住むタコ)、鬼金目(おにきんめ)などまだ生き物が存在しています。

超深海層(6000m以上)

世界最高峰のエベレスト(8848m)を水面から逆さにして、世界で最も深いといわれるマリアナ海溝と比べてみたとしても、山の頂上は海溝の底には全く到達できません。

2012年に、映画監督のジェームズ・キャメロン氏は、マリアナ海溝のなかでも最も深い「チャレンジャー海淵」を探索する目的で、潜水艇に乗り、水深10898.4m(35756フィート)まで降下しました。これがディープシーチャレンジャーミッションです。

しかし、キャメロン監督は、過去の有人潜水記録をわずかに上回ることができませんでした。

その有人潜水記録は、1960年に、海洋学者ドン・ウォルシュ(Lt.Don Walsh)氏とジャック・ピカード(Jacques Piccard)氏らが出した水深10,916m(35797フィート)です。

この2つミッションは、有人での深海探査における偉大な記録であることには変わりはありません。

科学者の挑戦

科学者は、1995年から2003年の間に、チャレンジャー海淵を探索するために、無人潜水艇を6回にわたって送り出しました。そのなかには、350種類以上の深海生物の採取に成功した「KAIKO」も含まれています。

しかし、科学者たちは、海の中には、いまだに発見されていない深海生物が千種類以上はいるだろうと推定しています。

現在、人間が調査した海は、まだ全体の5%から10%に満たないもので、人類は、暗くて深い海の世界を理解し始めたばかりです。