冬になると地球の酸素量が減るというのは本当なのか?

2018年5月23日

水資源や食料など、植物や木々がもたらしてくれる恩恵ははかり知れないものです。なかでも酸素は特別で、私たちは、酸素なしには生きていけません。

人間の細胞は、食べ物を消化してエネルギーに変えるときや、体内の有害な物質を解毒するときにも、たくさんの酸素を必要とします。

そして、これらの酸素は、植物が太陽などの光を使って、光合成をすることによってつくり出されたものです。

ここで、さらにもう一歩踏み込んで考えてみましょう。

冬の間は、日照時間(光合成に必要な光エネルギー)が減り、木々が(光合成を行っている)葉を落としてしまいます。そうなると、植物の光合成が低下して、地球上の酸素量は減ってしまうのでしょうか?

答えは「イエス」です。しかし、少しだけです。

ここでは、5歳の子供から寄せられた質問「冬になって寒くなると、地球上の酸素量が減ってしまうのか」について、植物の光合成と地球の酸素量の季節的な変動に関する研究をもとに分かりやすく紹介します。

光合成とは

光合成とは、光合成色素をもつ植物が、太陽などの光エネルギーを使って、二酸化炭素から糖類(ショ糖やデンプンなど)などの有機物をつくり出す光化学反応のことです。

これと同時に、水を分解して水素を取り出した後、使わなかった酸素を、空気中に放出します。

つまり、植物が光によって水から酸素を発生させ、二酸化炭素から糖類など栄養分を作ることです。

酸素をつくりだす生き物たち

幸いにも、地球上にはたくさんの酸素があり、大気中の酸素量は年中を通して比較的安定しています。

私たちが呼吸する空気の約21%は酸素で、この酸素のほとんどが光合成によるものです。

光合成を行う植物は、地上に生育する樹木や植物だけではありません。

実のところ、大気中の酸素の半分以上は、海の植物プランクトンと呼ばれる微生物の光合成によってつくりだされたものなのです。植物プランクトンによる酸素は、大気中に直接放出されるわけではなく、最初に水に溶けていきます。

なかでも、地球上で最も光合成で酸素をつくり出しているのは、「ピコプランクトン」と呼ばれる顕微鏡でも見えにくい小さな小さな海洋性シアノバクテリアだといわれています。シアノバクテリアとは、太古の地球から存在する藻のような細菌類(原核生物)の一種です。

夏と冬で光合成量は変化する

海洋で行われる光合成も、陸上と同じように、季節の影響を受けています。

たとえば、高緯度の地域では、夏になると太陽が高くなり、海の深いところまで太陽光が届くため、植物プランクトンの光合成が活発化して、より多くの酸素がつくられます。

また、海水の温度の上昇によって、酸素が大気中にたくさん放出されるようになります。なぜなら、水が温められたことで、酸素分子の運動がはげしくなり、大気中に逃げていく量が増えるからです。

地球の酸素量の季節的な変動

科学者たちは、1990年から地球上の酸素量の季節的な変化を測定しはじめました。

地球上の異なる地域で、空気のサンプルをフラスコに収集し、それを標準的なサンプルと比較して、酸素と窒素の比の変化をみていったのです。

すると、窒素ガスの値は、一年を通してほぼ一定に保たれていたのに対して、酸素の体積は、北半球で冬の間に24PPM(100万分の24の割合で)減少していることが分かりました。

これは、(大気中の酸素量が、約210,000PPMなので)酸素量の変化が、約0.01%程度の低い数値であることを意味します。

これに対して、南半球における大気中の酸素量の変化は、少し小さくなります。

このような差が生じるのは、地球の大陸の多くが北半球にあることが関係しています。陸上では、植物が光合成によって直接大気中に酸素を放出しているため、冬に陸上植物の光合成が減ると、海に比べて酸素量の変化が大きくなるためです。

まとめ

人間が生きていけるのは、植物や植物プランクトンたちのおかげであることは誰も否定できない事実です。

植物の光合成が低下する冬でさえ、安定して酸素が供給されていることに、私たちはもっと感謝しなければなりません。