ごく強い雪の嵐「ブリザード」について、吹雪が引き起こされる理由や暴風雪の状態を中心に分かりやすく紹介します。
雪が降ると、心が浮き立って、外に出たくなる人は少なくはないはず。
そり滑りに雪だるまづくり、雪合戦、ただ雪の中を散策するだけでも楽しいものです。
しかし、この冬ならではの贈り物「雪」によって、外出を控えなければならないときもあります。特にブリザードと呼ばれる猛吹雪の中をでかけるのはとても危険です。
ブリザードは、冬の嵐の一種ですが、少し特殊な性質をしているからです。
吹雪はどのようにして起きるのか?
吹雪は、嵐が始まるのと同じように、大きな2つの空気の領域の出会いによって引き起こされます。
1つ目の空気の領域は冷たく、もう一方は暖かい空気の領域です。
この暖かい空気が、上に押し上げられて、冷たい空気の上に乗っかった状態になると、そこには、雲が発生し、強い風や雨が生じる条件が整えられます。しかし、吹雪では、通常雨は降りません。
そうです。吹雪は、雪を降らせます。
みなさんは、雪の正体がなにかを知っていますか?
雪は、凍った水です。この嵐の底に位置する地表近くの空気は冷たいので、水は、凍結して雪になるのです。
ブリザードとは
一般的な「冬の嵐」は、気温が氷点下で、雨、あられ、降雪など、さまざまな降水が引き起こされます。
秋から冬、春にかけて寒冷地のみで発生し、地面の温度が氷が形成されるのに十分なほど冷たくなり(凍結)ます。
そして、冬の嵐の状態が特にひどくなり、いくつかの基準を満たすと、「ブリザード」と呼ばれるようになります。
科学者いわく、吹雪が公式に「ブリザード」とみなされるには、3つの条件が整わなければなりません。下記が、一般的な冬の嵐とブリザードの違いです。
1. 強い風が吹いた状態
アメリカ国立気象局(NWS)によると、ブリザードは、風が、一般道を走る車のように、少なくとも時速55キロの速さで、とても激しく吹いた状態をいいます。
外に置き忘れたポリバケツやジョローは、間違いなく吹き飛ばされるでしょう。
2. 視界が悪くなる
天気のよい日では、遠くの山までの距離感がつかみやすいかもしれませんが、吹雪の中では、空から降る雪が風で吹き荒れたり、風で舞い上がった雪が太陽光を乱反射させたりするため、視界が極端に遮られて見通しが悪くなります。
そして、このときの視程が400メートル以下になると、ブリザードと呼ばれます。
目の前の視界は、霧がたちこめたようにただ白一色となり、ときには、数メートル先も見えなくなることさえあります。
この現象は、ホワイトアウトと呼ばれ、方向感覚や地形の様子が全く分からない危険な錯覚状態を意味します。
3. 暴風雪が長時間続く
ブリザードは、上記のような状態が、3時間以上続いた状態をいいます。
考えただけで、なぜ吹雪(ブリザード)が特殊で深刻な冬の嵐であるのかを知ることができるでしょう。
温度や雪の量
実は、吹雪について、まだ話していないことがあります。
寒さ(温度)についてです。
一般的に、吹雪のときは、非常に寒いことが知られていますが、ブリザードの基準値となるような温度があるわけではありません。
同時に、雪の量にも基準は無く、たくさん雪が降らないとブリザードと呼べないわけでもありません。
アメリカのグレートプレーンズや西部の州でみられる「グランドブリザード(地吹雪を伴う強風)」のように、雪が降っていない状態でも、強風によって雪が舞い上がった状態をブリザードと分類することもあります。
大抵は、一度吹雪になると、何トンもの雪が降り、積雪量が短期間で人の身長を上回ることもよくあるようです。
世界で引き起こされるブリザード
世界には、暖かい空気と冷たい空気からなる2つの大きな性質の異なる空気の領域が、非常に頻繁に出会う場所がいくつかあります。
たとえば、アメリカやカナダの内陸部などは、冬になると頻繁に吹雪が発生する地域のひとつで、そこは、北極からの寒くて乾燥した空気と、メキシコ付近の海域から北上してきた暖かく湿った空気が出会う場所です。
その他にも、アメリカ北東部、イギリスの一部、ルーマニア、イラン、中国などにも同様な地域があり、毎年のように、極端に激しい吹雪が生じています。
そして、気候学者のMatt Kelsch氏によると、海面の温度が上昇しやすくなると、吹雪はより激しく、頻繁に引き起こされる可能性が高くなります。