果物や野菜を育てる土は、pH(ピーエイチ)値が低すぎても高すぎてもいけません。
pHとは、物質の酸性度やアルカリ性度(塩基性度)を表す指標です。
通常、0から14までの正の数で表され、真ん中にあたる7が酸性でもアルカリ性でもない「中性」値を示します。
pH値が7より小さくなると「酸性」、そして、7を上回ると「アルカリ性」と呼ばれ、「7」から数値が離れるほど度合いは強くなります。
このpHを維持しないと、ほとんどの植物の生育に以下のような悪影響が出ます。
雨が酸性に偏る原因
つまり、大気中の二酸化炭素が十分溶け込んだ雨水は弱酸性なのです。
この雨水の弱酸性は、実際には植物に何のダメージも与えません。
しかし、ここ数年、工場や事業所などから大気中に多くの有害物質が放出されています。
そして、これらの物質が加わると雨水のpHは低下します。特に都市部においては、雨水のpHに大幅な低下がみられ、5.6より低い強酸性になってしまっているのです。
この強酸性の雨水が降り注ぐと、酸性雨と呼ばれるようになります。
白い大理石に酸性雨が降り注いだ結果、黄褐色になった話を聞いたことはありますか?
この酸性雨は、白い大理石を変色させるだけでなく、人間や動物にさまざまな影響を与えていきます。
たとえば、土壌のpH値が酸性化しすぎると、植物は枯れやすくなります。
酸性化した土の影響
通常、マグネシウムやカルシウム、カリウムなどの植物にとっての栄養分(陽イオン)は、腐植や粘土の微粒子(陰イオン)とくっついて土壌中にとどまり、植物に吸収されます。
しかし、酸性が強くなると、水素イオン(陽イオン)がこれらの土壌の微粒子と先にくっついてしまいます。
その結果、栄養分は土壌中にとどまれずに流れ出てしまい、作物は栄養分を吸収できなくなるのです。
アルカリ化した土の影響
植物の緑色は、クロロフィルという光合成色素(光エネルギーを吸収する葉緑素)によるものです。
この葉緑素を作るには、鉄を必要とする酵素があるため、植物が土から水を吸収するとき、土壌中の鉄分も取り込んでいます。
しかし、土壌のアルカリ度が高くなると、鉄の利用率が低下します。
その結果、クロロフィルを作るのに必要な量の鉄が摂取できなくなり、植物は黄色く変色してしまうのです。
また、鉄の利用可能性以外にも土壌のpH値は、有害物質のレベル、バクテリアや根の生育などにも影響します。
したがって、農家が作物を栽培する場合、良い収穫を得るために土壌のpH値を知っておく必要があるのです。