世界最大級の天体望遠鏡で、ロケットの直径よりも大きな10m規模のレンズ(口径)でなら、月面のアメリカ国旗まで見れるような気がしませんか?
NASAによるアポロの月面着陸の兆候を、高倍率の望遠鏡で探るなんてまさにロマンです。
しかし、その可能性は、理論的にはイエスですが、実際にはノーです。
以下に、月面をみるには何が必要かを考え、それが現代の望遠鏡では難しい理由を紹介します。
望遠鏡で月面を見る試み
月面には、アポロミッションの着陸により、小さな爆発クレーターや人間の足跡などかなりの数の痕跡が残されているはずです。
また、アメリカ国旗、月着陸船のベース、ムーンローバーなどの複数の遺物も見られるはず。
しかし、これらの目で確認できそうな兆候のいくつかは小さすぎて、地球の望遠鏡から観察することはできません。
そもそも月面着陸の兆候を見るには、信じられないほど強力な望遠鏡が必要であり、今日私たちが持っている地上最高の望遠鏡でさえ、そのような兆候の鮮明な画像を捉えるのに十分ではありません。
望遠鏡の解像力
強力な望遠鏡とは、専門的に言えば「解像力が高い」ものです。
宇宙の物体が望遠鏡を通して見えるかどうかは、使用されているレンズ、または、光を集める鏡の大きさによります。
月面を見るのに必要な望遠鏡のレンズサイズ
では、アポロ着陸の際に月面に残された遺物のサイズを見てみましょう。
アメリカの国旗の長さは約1.2mなので、少なくとも直径200mのレンズをもつ望遠鏡が必要です。
ハッブル望遠鏡の直径はわずか2.4mであることから、星条旗の解像には全く効果がないことが分かります。
月面車の長さは3.1mなので、直径75mのレンズをもつ望遠鏡を使って観測する必要があります。
別の要素である月着陸船の基地と着陸装置は直径9.5メートルなので、1画素イメージでさえかろうじて表現するには直径25m近くのレンズの望遠鏡が必要です。
どうやらハッブル望遠鏡を使用してアポロ着陸の兆候を暴くのは明らかに問題外といえるでしょう。
さらに、地球最大級の光学反射望遠鏡の口径10m近いレンズでさえ、アポロの月面着陸の痕跡を解析することはできません。
結論:月面の細部を望遠鏡で見ることはできない
結論として、望遠鏡を通して月面着陸の視覚的兆候を観察することは理論的には可能ですが、今日の技術と望遠鏡では、目に見えるのはたくさんの点だけのようです。
しかし、現代科学なら、地球から見る望遠鏡では無理でも、月面を調査する方法はあります。
幸いにも世界中の科学者や学者、天文学者の力によって、 NASAの月周回無人衛星ルナー・リコネサンス・オービターなどが撮影した月面の着陸地点の画像をたくさん入手できるようになったのです。