さて、みなさんは、人類が宇宙にも望遠鏡を置いているって知っていますか?
宇宙からでは、地球の望遠鏡から(宇宙を)見るのと何が違うのでしょうか?
残念ながら、地上から見る宇宙の世界には限界があります。
地球を覆う大気は星の光を散乱し、画像をぼやけさせてしまうのです。
そこで、宇宙望遠鏡の登場。これによって、地球の大気の上に望遠鏡を設置することで、他の望遠鏡の画像よりもはるかに鮮明な画像を見ることが可能となりました。
さらに、ハッブル望遠鏡は、地球の大気によって遮られる紫外線の波長をも見ることができるのです。
以下に、「ハッブル宇宙望遠鏡」がどのように誕生し、私たちの世界をどれほど変えたのかについての興味深い話を紹介します。
ハッブル宇宙望遠鏡とは
1990年に打ち上げられた「ハッブル宇宙望遠鏡」は、(2021年にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられるまで)宇宙望遠鏡の中で最大かつ最も多機能な望遠鏡のひとつです。
イータカリーナ星雲をはじめ、遠くの星や銀河の美しい写真を撮影したことで有名なこの望遠鏡は、400年以上前にガリレオが望遠鏡を発明して以来、天文学において最も重要な進歩をもたらしました。
望遠鏡が発明される前、私たちが宇宙について知っていたのは、肉眼で見えるものだけでした。
しかし、望遠鏡の倍率が上がったことで、「土星には環があったこと」や「木星には衛星があったこと」など信じられないようなことが次々と発見されていきます。
天の川はただの雲ではなく、果てしなく続く星々の広がりであり、その光はかすかな輝きとして見えることも分かりました。
初の望遠鏡が宇宙に
長い年月をかけて、より遠くを見ようと望遠鏡はより大きく、より複雑になっていきましたが、科学者ができることには限界がありました。
都市の光はかすかな星の光をかき消してしまうので、天文学者たちは人里離れた場所に移動していき、雲や大気の霞も邪魔になるので、天文学者たちは山頂や島に天文台を作ったのです。
20世紀になると、光と大気の両方の問題は、望遠鏡を宇宙に設置することで解決できると考えられるようになっていきます。
そして、1968年、「スターゲイザー」という愛称で呼ばれる初の宇宙望遠鏡が打ち上げられます。この宇宙望遠鏡は、運用を停止するまでの4年間、宇宙で観測を行いました。
スターゲイザーの成功は、天文学者たちに、より大型で恒久的な宇宙望遠鏡の必要性を証明しましたが、この目標が達成されるまでに20年近くが経過しました。
ハッブル宇宙望遠鏡の誕生
科学者と天文学者の長年にわたるたゆまぬ努力の結果、ハッブル宇宙望遠鏡が誕生。
ハッブル宇宙望遠鏡は、私たちの銀河系以外にも宇宙には銀河が存在することを発見したことで有名なアメリカの天文学者エドウィン・P・ハッブルにちなんで名付けられました。
1990年4月24日、スペースシャトル・ディスカバリー号はハッブル宇宙望遠鏡を搭載して打ち上げられ、地球から547キロメートル上空の低軌道に放たれました。
そして、今ハッブル宇宙望遠鏡は、25フィートのソーラーパネルで駆動され、95分ごとに地球を周回しています。
望遠鏡の最も幅の広い部分で直径4.2メートル、長さは13メートル以上、大型スクールバスほどの大きさです。重さは約12,000キログラムで、大人の象2頭分に相当。
宇宙飛行士が修理できる望遠鏡
ハッブル望遠鏡が注目に値するのは、宇宙飛行士が宇宙で修理できるように設計された唯一の宇宙望遠鏡だったからです。
宇宙飛行士は2022年までに5回、望遠鏡の修理やアップグレードのために宇宙を訪れ、打ち上げから30年以上経った現在も使命を続けています。
ハッブル望遠鏡を使うと、軌道上の位置から深宇宙に存在する天体の美しく鮮明な写真を撮ることができます。
運用開始から30年間で、100万回以上の観測が行われ、ブラックホールの検出をはじめ、惑星や銀河がどのように形成されるかを科学者が理解するのに役立つ情報が集められ、他の恒星を周回する惑星を見ることまでできるようになりました。
さらにハッブル望遠鏡は、これまでに撮影された宇宙の最も美しく象徴的な画像のいくつかを私たちに提供し続けています。
当初、ハッブル望遠鏡は15年間しか稼働されない予定でしたが、現在も稼働しており、2030年、あるいはそれ以降も稼働し続ける可能性がでてきました。
それまでは、世界中の天文学者がハッブル望遠鏡を頼りに画期的な科学観測を行い、宇宙についての理解を深めていくでしょう。