別の宇宙に行くことはできるのか?

別の宇宙にいくことはできるのか?(多元宇宙論)宇宙・航空科学

ドラゴンボールをはじめ、転生アニメなど、今では複数の宇宙の存在を仮定した説「多元宇宙(マルチバース)」をもとにした話をよく目にします。

もし、多元宇宙という考え方が真実だとしたら、つまり、私たちの宇宙がすべてではなく、宇宙と呼ぶにふさわしい別の領域が存在するとしたら。

私たちは、そこに行くことはできるのでしょうか?

その問いに対して、コロンビア大学の理論物理学者ブライアン・グリーン氏は、

「短く答えると、ある宇宙から別の宇宙へ移動することは物理的には不可能だ。

しかし、もっと長く説明すると、それはあなたが認識している宇宙によって実際には実現されているのかもしれません」

といいます。

一体それはどういう意味なのでしょうか?

以下になぜ私たちのいる宇宙以外に行くことが物理的に不可能なのかについてその考え方を紹介します。

別の宇宙に行く=ビッグバンが起こる前に戻ること

まずは分かりやすい2つの例でみていきましょう。

たとえば、複数のビッグバン(宇宙のはじまりといわれる爆発的膨張)があり、そのビッグバンから複数の宇宙が生まれたとします。

そして、ある宇宙から別の宇宙へ移動しようとします。

しかし、それは不可能です。なぜなら、私たちは自分の宇宙を離れることができないからです。

私たちが自分の宇宙を離れて別の宇宙に行くことは、基本的に、私たちの宇宙を作ったビッグバンが起こる前の過去に戻ろうとするのと同じことです。

そしてそれは、私たちには到底できることとは思えません。

量子力学の数学理論で考えられる全ての可能性

もうひとつの例は、量子物理学からきています。

量子物理学では、数学的な理論が予測できるのは、ある結果か別の結果かというその確率だけです。

ここに電子が50%の確率で存在し、50%の確率であそこに存在するかもしれない場合、問題は、電子を測定してここにあることがわかったときに、他の可能性はどうなるのかということ。

量子物理学の確率

一つの提案は、それがここで実際に起きたということで、一方で、別の宇宙では、量子物理学の数学で説明できるようなすべての結果が実際に起こっているかもしれないのです。

ある宇宙から別の宇宙へ移動することはできるのだろうか?

おもしろいことに、その考え方が正しければ、あなたはすでに別の宇宙への移動を実現しているのです。

左へ行く可能性、右へ行く可能性、あなたがイエスという可能性、ノーという可能性。それらもまた量子物理学の数学理論で考えられるすべての結果の可能性です。

だから、もしすべてが起こるのであれば、それらも同じように起こるのです。

今朝、パンケーキを食べるか卵を食べるかを決めるとき、ある宇宙ではパンケーキを食べ、別の宇宙では卵を食べた。

その意味では、あなたは常に異なる宇宙を行き来していることになります。

というのも、あらゆる可能性のある結果が、すべての異なる領域で実現されているからです。

参照元;It May Be Physically Impossible To Visit Another Universe, According To A Physicist