なぜ巨大な重量物「ロケット」が宇宙まで飛べるのか?

なぜ巨大なロケットは飛べるのか?宇宙・航空科学

巨大なロケットがなぜ、どのようにして打ち上げられるのか不思議に思いませんか?

以下に、巨大なロケットが宇宙に向けて飛べる理由について、ニュートンの運動法則にも少し触れながら分かりやすく紹介します。

実は中国では、目的こそ違えど、11世紀には既にロケットのようなものが存在していたようです。

宇宙船はロケットのどこに載っているのか?

宇宙船はロケットのどこに載っているのか?

ロケットのどこに探査車が搭載されているのか気になりませんか?

ロケットは、下の方が丸い筒状で先が尖った鉛筆のような形をしていますね。

宇宙船や探査機、人工衛星などは、上の方にあります。

ロケットの先端にある宇宙船

ロケットの下部にあるエンジンから出る火や煙から安全に守られているのです。

巨大なロケットが飛べる理由

重たいロケットが飛べる理由

遠くから撮影された映像ではわかりにくいのですが、ロケットは実際にはとても大きく、その重さも当然のことながら、とても重たいもの。

「パーサヴィアランス」を乗せたロケットは53万キログラム以上で、これは象100頭分もの重さに相当。NASAがこれまで打ち上げた最大のロケットにおいては象400頭分にも及びます。

こんなに大きくて重いものが、どうやって地面から離れて宇宙に行くのでしょうか?

飛行機のように、エンジンの力で上がるのでしょうか?

基本的にロケットを飛ばす方法は、押し出すのです。

炎と煙はそのためにあります。

巨大なロケットを押し出す力の秘密

ロケットの発射台

ロケットの下には発射台があり、これはコンクリートでできていてとても丈夫です。

打ち上げの時には、ロケットエンジンが燃料の液体水素とそれを燃やす液体酸素の2つを混ぜて加熱します。

酸素も水素も目には見えなくても、私たちの周りの空気中に常に存在しています。

ちなみに私たちは、酸素を「呼吸」という特別な方法で使用していますが、酸素には、ものを燃やす働きもあります。

ロケットでは、この2つの気体が液体の状態で積まれています。

それらの液体は、空気の無いところでも混ぜて燃やすことができ、それが巨大な雲になり、超高速でエンジンの端から発射台に対して勢いよく押し出されるのです。

ロケットは、エンジンの推進剤による強い力(ジェット推進)で打ち上げられると、時速28,000kmもの速さで宇宙に飛び込み、外からの力がかからない限り止まることも方向を変えることもできません。

ロケットを「押す力」と「押し返す力」

押したり引いたりするものを何と呼ぶか覚えていますか?

「力」です。

この大きな押しは、大きな力です。

そして、その力によって、あるいは力の影響によって、何が起こるかというとロケットが地面から浮き上がるのです。

力は私たちの身の回りにあり、私たちはいつもその影響を見たり感じたりしています。

物を押すときは、物が大きくて重たいほど、大きな力が必要となりますね。

ロケットが大きなものになるほど、押し出す力を生む燃料もたくさん必要となるのです。

実は、ロケットを押し出す力は、地面を蹴ってジャンプするのと同じ仕組みです。

力を加えると、その逆方向にも同じ大きさの力が働く

例えば、重力という力は、あなたや私、そして私たちの周りのすべてのものを地面にとどめています。

もし重力がなければ、私たちを地面にとどめておくものは何もありません。

そうなると、ちょっとした移動でも宇宙に飛び出してしまうのです。

ありがたいことに、地球の重力は私たちが宇宙で迷子にならないようにいつも私たちを引っ張ってくれています。

普段、私たちは重力に引っ張られているという感覚はありませんね。

でも、それはただ慣れているからです。

重力を感じたいなら、ちょっとその場で跳んでみてください。

いいですか?

跳ぶときには、足で地面を押し下げているので力がかかります。

そして、それによって私たちは上に上がるのです。ちょうど膨らませた風船が空気を出しながら勢いよく飛んでいくのと同じようなもの。

しかし、風船も私たちもずっと上にいるわけではありません。

それは、足が地面から離れると、重力に引きずられて、地球に戻ってきてしまうからです。

全ての力はペアになって生じ、「押す」と「引く」のように同等の相反する作用があります(ニュートンの運動法則の3番目)

ロケットは、私たちが空に向かって跳ぶのと同じようなものです。

ただ、よりスケールが大きいだけ。

驚くかもしれませんが、重力に打ち勝って宇宙に飛び出すには、毎秒11265.4m(7マイル)のスピードが必要だといわれています。

ロケットが打ち上げ後に壊れたように見えるのはなぜ?

ロケットの打ち上げ映像を見ていると、たしかに打ち上げ後に空中で壊れたように見えます。

実は、象100頭分のロケットは実際には火星まで持っていくには大きすぎるため、地上から離れるにつれて、ステージと呼ばれるいくつかの大きなパーツに分解され、各ステージには、それぞれエンジンと燃料があるのです。

そして、各ステージで燃料を使い切ると、ロケットは、軽くて飛びやすいように空になった部分を落としていきます。

落ちた部品は、大気の摩擦で燃え尽きるか、海に落ちるように考えられています。

最終的には、すべてのステージが落ちて、宇宙船だけになります。

ロケットについての豆知識

もうひとつ知っておかなければならないのは、ロケットが地球から遠く離れれば離れるほど、地球の重力は弱くなることです。

そのため、ロケットが宇宙船を十分に遠くまで運ぶことができれば、あとはより小さなエンジンで旅を終えることができます。

すべてのロケットエンジンがこのような仕組みになっているわけではありませんが、これがロケットが地球を離れて宇宙に行くための力を発揮しているのです。

実は、このロケットの基本的な仕組みは、1100年代の中国(宋)では既に使われていたってご存知ですか?

当初は、今のような液体の燃料ではなく、火薬を筒につめた固体推進剤で、主に武器や花火としてこの仕組みが使われていたそうです。

NASAの科学者をはじめ、世界は今、地球以外の世界を探索しようとさまざまなミッションを始動させています。

90日間のミッションをはるかに上回り14年間も火星を調査し続けた探査車(ローバー)「オポチュニティ」もついに故障し、2021年2月には5番目の探査車「パーサヴィアランス」が火星に着陸。

宇宙がどんどん身近になっている気がしませんか?

参照元:
How Do Rockets Fly?
ROCKET LAUNCH