太陽と月はどちらも東から昇って西に沈むように見えますね。
では、なぜ日食の観測地点は、時間の経過とともに西から東に移動していくのでしょうか?
その答えは、月が地球のまわりを回る方法にあります。
以下のように、日食のときの位置関係(太陽→月→地球)、地球の自転速度、月の公転速度の関係を一つずつ分解して考えてみると分かりやすいのでみていきましょう。
月の公転と地球の自転は同じ方向「反時計回り」
北極の上の宇宙からみると、月が、地球のまわりを反時計回りに回っている(公転)ことに気づくでしょう。
それは地球が自転しているのと同じ方向であり、地球が太陽のまわりを回る(公転)のと同じ方向でもあります。
地球の自転方向が反時計回りであるからこそ、月は他の星や太陽と同様に地球から見ると東から昇って西に沈むように見えるのです。
月の公転速度は地球の自転よりはるかに速い
月の進む速さ(公転速度)は地球の自転よりもはるかに速く、2倍以上の速度で移動(公転)しています。
しかし、地球が一周するのにかかる時間はわずか24時間なのに対して、月が地球の周りを一周するのにかかる時間は約27日とはるかに長くなります。
その結果、地球は月が公転するよりもはるかに早く自転を完了するため、月は太陽や星と同じように空を東から西に移動しているように見えるのです。
地球が自転をストップすると「西から東に」?
もし、地球が自転しないで静止していると、月は非常にゆっくりと西の空から昇って東に沈むように見えます。
そして、月が地球から見上げた空を横切るのにほぼ14日かかり、その後、再び昇るまで約14日間は空から消えてしまいます。
月が東から西に動いて見える理由
月が東から西に移動して見える理由を身近な例で説明しましょう。
電車に乗っているときに、駅のホームで電車と同じ方向に歩いている人たちとすれ違うと、たとえ彼らが同じ方向に進んでいるとしても、見かけ上、車内からは後ろ(逆向き)に動いているように見えますね。
日食が西から東の地域に移動する理由
日食を引き起こすには、月が(地球から見える太陽を覆い隠すために)正確に正しい位置になければなりません。
しかし、ここで月は時速3600キロメートルというすごい速度で移動(公転)している点に注意しなければなりません。
地球の幅はわずか12,000キロメートル程度(12,742 km)で、これは月の影がたった3時間で端から端までカバーできる距離です。
すると、地球は時速1,600キロメートルで自転しているため、地球がはるか遠くまで自転する前に、月の影が地球を横切ってしまうことになるのです。
つまり、月が空のほんの一部を通っただけで、月の影は地球全体を西から東へ、つまり月が常に動いている実際の方向に移動することになるのです。