地球と月が同じくらいの年齢って知っていますか?
でも、その月がどこからきて、どのようにして形成されたかについては、多くの科学者にとってナゾのままでした。
しかし、アポロ16号が持ち帰った月の石によって少しずつ解明されてきたのです。
そして、現在最も有力な説とされてるのが火星くらいの天体が地球に衝突して月が生まれたとする「ジャイアント・インパクト説」。
さっそく、地球と月ができたおよそ45億年前の月と地球についてみていきましょう。
月の誕生についての説
地球と月はおよそ45億年前にできたものです。
ただ、地球の方が少しだけ年上で、後から月ができたようです。
近年、ドイツ航空宇宙センターとミュンスター大学が行ったコンピュータシミュレーションでは、月は約44億2500万年前に生まれたと示されています。
ただし、月がどのようにしてできたかについては、宇宙を研究する天文学者によってもいろいろな考え方があります。
地球の一部が自転の遠心力によってちぎれた「親子説」、どこかで生まれた月が地球の引力につかまった「捕獲説」、ほぼ同じ時期に同じ場所で生まれたとする「双子説」などです。
そして、今最も有力だとされるのが巨大衝突説。「ジャイアント・インパクト説」とも呼ばれる有名な説です。
有力説「ジャイアント・インパクト説」とは
地球が誕生したのと同じ頃、つまり太陽系がまだ生まれたばかりの頃に、火星くらいの天体が地球に衝突して月が生まれたとする説です。
天文学者が「Theia/テイア」と呼ぶその巨大な岩石は、地球に衝突したとき、どんな隕石によるクレーターよりも大きな衝撃を与えたことでしょう。
この衝突によって、地球のマントルやその他の岩石の破片は宇宙にまで飛び散りました。
その結果、飛び散った岩石同士がくっつき地球の軌道で固まりはじめたのです。
その後、火山からあふれでたマグマの海が、1億5000万年から2億年もの年月をかけて現在の月ができあがります。
その後、地球が太陽の周りを回るように、月も地球の周りを回るようになります。
45億年前の地球と月
巨大な天体が衝突したとき、地球上の動物や植物は大丈夫だったのでしょうか?
実は、月が誕生した頃の地球はとても新しく、まだ液体の水も、植物も、動物も存在はせず、岩石質で活火山がたくさんある惑星でした。
人類は、長い年月をかけて月の研究を重ねています。
宇宙船を月に送ることで多くのことを学びましたし、アポロ16号が地球に持ち帰った月の石では驚くことが分かりました。
月の岩石が、地球の岩石とよく似ていたのです。
月の石から分かったこと
もし月の多くの部分が、テイアが地球に衝突したときに宇宙に飛び散った地球の岩石でできているとしたら、それはまさに予想通りのことです。
たしかに、現段階ではまだ月が巨大な衝突によってできたと断定できるわけではありません。
しかし、地球と月について私たちが知っていることを総合すると、これがベストな推測でしょう。
過去にさかのぼって、衝突によって月が形成されたかどうかを調べることはできませんが、地球と月の岩石を調べることが、この事実を解明するための最善の方法なのです。
月と地球の違い
太陽系には惑星をまわる衛星がたくさんありますが、地球の衛星は月だけです。
地球と月にはいくつかの共通点がありますが、月は私たちの地球とは全く違う場所です。
例えば、月は地球よりもずっと小さく、呼吸できる空気も海もありません。
また、表面にはクレーターと呼ばれる丸いくぼみがたくさんあります。
これは、何十億年も前に巨大な小惑星が月に衝突したときにできたもので、私たちがいつも見ている表側よりも、実際には裏側の方が多いことも分かっています。
現在、月は地球から40万キロメートル以上離れています。これはとても長い旅で、地球を10周するのと同じくらいの距離です。
もし、夜に月が見えたら、宇宙船がどうやってそこに行ったのか、思いをはせてみてくださいね。