鼻くそを食べるとどうなるのか?体へのリスクを科学的に検証

私たちの周りには、予想以上に鼻をほじる習慣がある人が多いようです。あの人もこの人も、もしかしたら、あなたの隣の人も。

なんと、成人の91%が、定期的に鼻をほじってしまう行為を認めていることを示す報告もあるほど。

そして、なかには、指先についた鼻くそをそのままパクリと。実際に、イギリスのStefan Gates氏は、著書 「Gastronaut」で、彼が質問した成人の44%が鼻くそを食べたことがあると述べています。

また、ニューヨーク州立大学のシドニー・タラチョウ氏によって行われた研究では、鼻くそを食べた人らは、それを「おいしい」と感じたとすら報告しています。

しかし、子供の鼻ほじりでよくみられるこの行為は、大人になると、反社会的行動としてたちまち周囲からのひんしゅくを買うだけでなく、健康的なリスクを伴う可能性もあるのです。

ここでは、鼻くそを食べることが体にどのように影響するかについて、鼻くその仕組みやこれまで世界各地で行われてきた研究をもとに科学的に分かりやすく紹介します。

鼻くその仕組み

まずは、鼻くそについて、詳しく見てみいきましょう。

鼻くそはほとんど水で構成されています。タンパク質のようなねばねばしたゲル(ゼリー状)の塊は、その肌触りゆえにみんなの嫌われ者かもしれませんが、細菌と闘う特別な免疫タンパク質として、私たちにとっては大切な存在でもあるのです。

確かに、鼻から取り出された小さな塊は、インフルエンザのような有害なウィルスで溢れています。

しかし、実のところ、それが大事なポイントなのです。

鼻くそは、細菌やウィルスといった外部からの侵入者に対して、体の最前線の防衛機能として活躍しています。

私たちは、呼吸をするときに、空気だけを吸い込んでいるわけではありません。

空気と一緒に、バクテリアやウィルス、汚れも体内に取り込んでいます。これらの厄介者は、鼻の孔から侵入した後、細い通り道(鼻腔)を覆う粘着性の鼻水の層にくっついて、まるでハエ捕り紙につかまったハエのように閉じ込められていきます。

そして、繰り返される呼吸によって、空気に触れた鼻水は次第に乾燥して固められていき、そこはまるで、罠にはまったばい菌やゴミの刑務所と化していきます。

たいていこの有害なバクテリアの塊「鼻くそ」は、くしゃみや鼻をかんだときに取り除かれます。

しかし、何らかの理由で、あなたが、それ(鼻くそ)を食べることを選んだ場合、その先には、感染症の危険が考えられます。

鼻くそを食べるリスク

有害な病原体を固く閉じ込めていた鼻くそは、体内で消化されるにつれて、それらを消化器官内に放出して体を菌にさらす危険性があります。

実のところ、専門家のなかには、鼻くそを食べると、その都度免疫システムが有害な微生物を認識して攻撃する力をトレーニングできるため、バクテリアに対する免疫が強化できると主張する人もいます。

また、Stefan Gates氏のように、「鼻水は、通常、鼻の繊毛の働きによって動かされた後、最終的に飲み込まれるため、私たちの体は鼻水を取り入れられるように作られている」と指摘する人もいます。

ハーバード大学やサスカチュワン大学の科学者をはじめ、肺専門医のFriedrich Bischinger氏においては、鼻くそは、良いバクテリアの宝庫だから、食べると健康によいとさえいいます。

しかし、残念ながら、それらは理論的には可能かもしれませんが、「鼻くそを食べることが、健康にメリットをもたらすこと」を科学的に証明するものは未だにありません。

そもそも鼻くそを食べるかどうかの前に、鼻ほじりの行為自体が危険なのです。

鼻の中のブドウ球菌

鼻の内側を指や爪でひっかくと厄介な細菌に侵入経路を開くことにもなりますし、実際に爪や皮膚に感染症や食中毒の要因となる黄色ブドウ球菌が潜んでいる可能性だって十分に考えられます。

※ 詳しくは「実は危険!鼻をほじるといけない理由」を参照。

2006年に行われた調査では、鼻ほじりをする人が、その習慣がない人よりも鼻の内部により多くのブドウ球菌を保持している可能性が高いことも明らかにされました。

これは、大きな問題です。

ブドウ球菌は、深刻な膿瘍(のうよう、体の組織の一部分にうみがたまる症状)を生じさせたり、鼻腔や顔に感染によって膿がたまった嚢を作り、おできのような炎症を増やしたりすることがあります。

それでもなお、鼻ほじりを続けると、鼻の中を左右に仕切っている鼻中隔(びちゅうかく)と呼ばれる壁を傷つけるおそれがあります。過去には、53歳の女性が、鼻中隔に刺し傷をつけたケースもあります。

副鼻腔(ふくびくう)に穴が開いた場合、感染がひどければ、有害な微生物が鼻から脳に侵入して、頭蓋骨が侵食されることも考えられるでしょう。

たしかに、この結末は極端なシナリオかもしれませんが。

一方で、2016年、エバーハルト・カール大学テュービンゲンは、鼻腔の常在菌から、「ルグズニン」と呼ばれる黄色ブドウ球菌の増殖を防ぐ抗生物質を発見し、ヒト由来の有望な抗生物質候補として世界の注目を集めています。

最後に

1970年代に発見された古代エジプトの巻物に、ツタンカーメン王が鼻ほじりをすることが触れられているように、鼻ほじりは、決して最近始まった行為ではありません。

一度、鼻に指をつっこんだくらいでは傷つきはしないかもしれませんが、次に鼻ほじりの衝動にかられてしまった場合は、ここで挙げた体へのリスクを思い出してみてください。その時は、自分自身に打ち勝ち、指ではなく、ぜひティッシュペーパーを手に取って鼻をかむようにしましょう。

鼻ほじりは、習慣化すると止めるのは難しいかもしれませんが、それは不可能ではありません。もしストレスが原因であれば、歌や呼吸法などより健康的な代替法を見つけるのも一つの方法です。

子供の場合は、環境に適応するための「緊張現象」であったり、発達ストレス反応を示している可能性もあるといわれています。

南アフリカの強迫性障害(きょうはくせいしょうがい)協会が、習慣的で強迫観念的な行動をとりやすい人々を研究した結果、精神的な問題を抱えている人たち(受動攻撃型パーソナリティ障害や統合失調症)にとって、「鼻ほじりや鼻くそを食べる行為」と自傷行為の動機には、相関関係があることが発見されたように、必要に応じて医師に相談することが必要なケースもあるのです。

その他の参照元:
1,Eating mucus
2,Is It Bad to Eat Your Boogers? - Healthline

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