旅行に行くと便秘になってしまうのはなぜ?

待ちに待った長期休暇中、ふと、旅行に出かけてから何日間も便が出ていないのに気付くことがあります。

そうなると、便秘が気になって旅行を楽しむどころではなくなったり、ときにはそれが腹部の不快感やお尻の痛みとなって襲い掛かることも。それではこれから先、旅行の予定をたてる度に憂鬱になってしまうでしょう。

実のところ、そのような経験は、決してあなただけではありません。しかし、旅先から帰ると自然と治ることも多いため、あえて「旅行中の便秘」は話題にされにくく、研究でも過少報告されてしまう傾向があるようです。

幸いにも、旅行中にいくつかのことを気をつけておくと、便秘を回避できる可能性があります。

ここでは、旅行中に便秘になりやすい理由や、便秘を避けるための効果的な方法について科学的に考えて分かりやすく紹介します。

実はほとんどの人が旅行中に便秘になっていた

消化器疾患と科学についての情報誌「Digestive Diseases and Sciences」に掲載された2008年の研究では、68人の海外旅行者の9%が便秘だと示されました。

この数値を見る限りでは、それほど便秘で悩む人は多くないような気がします。

しかし、それに比べて「American Journal of Gastroenterology 」による2003年の調査では、65人の被験者のうち38%というはるかに高い数値が報告されています。

どうやら調査するグループによっても偏りが生じるようですが、それは旅行中の便秘には、多くの潜在的な原因が関わっていることを意味します。

つまり、旅行での過ごし方によっては、ほんの少し離れた町に移動しただけでも、排便の規則性に影響を与える行動をしてしまう可能性があるのです。

旅行中の便秘の原因

たとえば、運転中にカフェイン(コーヒー)を飲みすぎたり、ビーチで普段より多くのアルコールを飲んだりすると、飲み物の利尿作用によって体内の水分が失われやすくなり、それが便秘の一因となります。

また、旅先では偏った食事になりやすく、炭水化物や脂肪が豊富な食べ物を普段より多く摂りすぎる傾向が高いのも原因になってしまいます。

さらに、車や飛行機で何時間も移動する場合、座る時間が長くなるほど、腸の動きを刺激する活動量が減ってしまい、必然的に腸活動がにぶっていきます。

※ 腸活動が健康に及ぼす影響については、こちらをご覧ください。
腸が心(脳)や免疫システム、健康に与える驚くべき影響

それに、飛行機やバスの遅れなど、スケジュールが予定通りにすすまないストレスが加われば「便秘」のための完璧なレシピができあがります。

なかでも旅行中の便秘は、時差ぼけ(時差症候群)による影響が大きいため、多くのケースが海外旅行者の調査で見られるようです。

主な原因「時差ぼけ」について

時差ぼけは、地球の自転による約24時間の明暗周期で変動する「体内時計」の乱れによって引き起こされます。

飛行機でタイムゾーンを横断して移動すると、体内時計と到着地の標準時間にずれが生じてしまい、急激に変化した環境に体が合わせられないために、その副作用として眠気や不快感を感じたり、便秘になったりするのです。

時差ぼけを引き起こす脳の領域

これはすべて、脳の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく、以下より略称のSCNと記す)の構造によって引き起こされます。SCNとは、脳の真ん中あたりにある1mmほどのごく微小な領域で、睡眠や覚醒、体温や血圧、ホルモンの分泌などの概日リズムを調整する信号はすべてここから送り出されているのです。

SCNは、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニン、そして、目(網膜神経細胞)からの光レベルの影響を受けます。

そのため、旅行中に、いつもとは異なる時間帯に眠ったり、暗いはずの時間に日光を浴びたりすると、SCNからの信号がうまく出されずに体内時計がくるってしまうのです。この状態が時差ぼけです。

時差ぼけと便秘の関係

実のところ、体内時計は、消化管のニューロンを含む体中のあらゆる細胞にあり、それらに概日リズムの情報に関する信号を送ってコントロールしているのがSCNで、SCNはいわば体内時計の中枢にあたる司令塔のような役割を果たしています。

実際にSCNと消化管は、排便のタイミングを同期させるために、終日シグナルを交換しており、これらのシグナルの交換が時差ぼけで混乱すると、SCNが体内リズムを軌道に戻せるまで、腸の働きは遅くなってしまいます。

最後に

旅行中の便秘は誰にでも引き起こされるもので、決して恥ずかしいものではありません。

しかしもし、予防したいのであれば、旅行中の移動は歩くようにしてできるだけ体を動かしてください。そして、甘いものを食べ過ぎないように、食事にも少し気を付けましょう。

海外に行く予定があるなら、無理のない範囲で現地の時刻に出発の1週間くらい前から少しずつ合わせて生活しておくのもおすすめです。

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