古いタトゥーの「上」に、自分の肌の色のタトゥーを重ねると完全に覆い隠すことはできるのでしょうか?
たしかに理論上はできますし、上に重ねた肌色のタトゥーで少しは目立たなくはなります。しかし、このやり方には問題があります。
暗い色を明るい色で覆っても、暗い色の影響は避けられないからです。
色彩画で考えると分かりやすく、結果的に、肌に色むらができてしまったり、さらには、日焼けによってより不快なまだら模様ができてしまったりする可能性もあります。
以下に、古いタトゥーを肌色のタトゥーで隠す試みへの問題点とその理由を色彩画を例に見ていきましょう。
タトゥーとは
タトゥーには、主に一時的なものと永久的なものの2つのタイプがあることについては、ご存知の方も多いでしょう。
一時的なタトゥーとは、ペイント、描画、ステッカータイプなど、さまざまな方法で作成できます。
名前が示すように、これらのタトゥーは、数日、または、数週間以内に自然に消えます。
一方で、永久的なタトゥーは、多かれ少なかれ生涯にわたって皮膚に残り続けるのです。
皮膚の構造とタトゥーの仕組み
さて、人間の皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されています。
表皮は最も外側の層であり、防水性があり、肌に色調を与えます。
神経や血管はありませんが、表皮では新しい細胞がつくられ、40日から50日周期で皮膚は生まれ変わっています。
2番目の層は血管や神経の通った真皮で、永久的なタトゥーのインクが存在する場所でもあります。
最後に、皮下組織と呼ばれる最も内側の層があります。
インクは、新しい細胞ができる層より下にあるので、真皮に残ったままになるのです。
言うまでもなく、タトゥーを入れるのはかなりの痛みを伴うプロセスです。
肌色のタトゥーで古いタトゥーを覆うとどうなるのか?
では、古いタトゥーの「上」に自分の肌の色と正確に一致した色のタトゥーを入れるとどうなるのでしょうか?
たしかに上に重ねた肌色のタトゥーによって、古いタトゥーは完全に覆われます。
しかし、これにより見た目は多少改善されるかもしれませんが、このアプローチにはいくつかの問題があります。
まず、タトゥーを水彩画として考えてみてください。
黒や紺色などの暗い色を使用すると、紙がそれを吸収します。
そして、その上に別の明るい色を塗ったとしても、すでに塗られた暗い色の影響を避けられず、2番目の色も暗くなってしまいますね。
タトゥーもこれに似ており、通常、インクは肌の色よりも暗い色なので、上から明るい色を重ねたとしても皮膚の上に見えたままになってしまうのです。
したがって、暗いタトゥーの上に明るい肌色のタトゥーを入れても 、暗い色がまだ部分的に見えてしまい、見た目はあまり良くありません。
さらに、肌色のタトゥーを入れたとしても、日焼けして肌の色が変わってしまうと、肌の色にムラができて逆効果になることも。
つまり、現段階では永久的なタトゥーを消去する最良の方法はレーザー治療であることに変わりはないようです。