左向きに寝ることが健康に良いとされる5つの理由について、横向き寝のデメリットもあわせて紹介します。
寝姿勢には、仰向け、うつ伏せ、左向き、右向きと4つの寝方がありますが、それによって健康状態、肌の若々しさ、消化器系の健康などが左右される可能性があるって知っていますか。
national sleep fundationによると、仰向け寝は、頭や首、脊椎の負担が最小限になる姿勢「ニュートラルポジション」で休めますが、
睡眠時無呼吸症候群や喘息の人、いびきをかきやすい人は舌が喉の奥に入りやすくなり、呼吸がしづらくなるので、軌道が確保できる横向きがよいといわれています。
アメリカン・ジャーナル・オブ・ガストロエントロジー(2022年2月)では、 夜間の胸やけが強い胃食道逆流症などには、左を下にして、さらには、頭(枕)を高くして寝た方がよいと示されています。
消化器官の配置を考えると、右が下では胃の内容物や胃酸が食道に逆流しやすくなるため、また、左を下にした方が消化が促進される可能性があるのです。
これはNew York Timesでも紹介されています。
左側を下にした左向き寝が良いという考えは、古代東洋医学からもきています。
ホリスティック医学では、左向きに寝ると、健康が大きく向上し、命を救うとまで言われています。
体の左側はリンパをコントロールする側であり、左向きで寝ている間、体は胸管(リンパ系の本幹)とリンパ節を通して毒素やリンパ液、老廃物を排出・ろ過する時間が長くなると考えられているのです。
リンパ系を強化する
アーユルヴェーダでは、左向きに寝ると、リンパ液や老廃物をリンパ節でよりスムーズにろ過・排出できるとしています。
これは、体の左側はリンパの流れが強いからです。反対に、右向きで寝るとリンパの働きが低下してしまうのです。
また、西洋の研究においては、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のHedok Lee博士らによって、横向きに寝ると脳の老廃物を分解しやすくなることが分かっています。
Hedok Lee博士は、次のように言っています。
参照元:Could Body Posture During Sleep Affect How Your Brain Clears Waste?
腸内環境を良くする可能性がある
仰向けで寝ると、消化器系の働きに影響し、ガスが体外に排出されにくくなります。
さらに消化に関しては、重力の関係で右向きよりも左向きで寝た方が良い場合があります。
小腸は、右下腹部にある弁を通って大腸に老廃物を運ぶため、左向きに寝ると重力を利用して便によって老廃物を排出しやすくなるためです。
また、胃は体の左寄りにあるため、胃や膵臓が自然に重力によって下がります。
これは、体が膵臓の酵素を作り続ける助けとなり、他の消化プロセスを助けることにつながります。
妊娠中の女性に最適
左向きに寝ることは、妊婦の血行を促進するだけではありません。
腰の負担を軽減し、子宮が肝臓を圧迫するのを防ぎ、子宮や腎臓、胎児への血流を高める効果も考えられます。
そのため、医師は妊婦に睡眠時間をなるべく左向きの寝方で過ごすように指導することが多いようです。
胸焼けを抑える
Journal of Clinical Gastroenterologyに書かれた研究によると、(睡眠時の体位と食道pHおよび食道インピーダンス)を調べた結果、左が下の寝方は、胃酸分泌が抑えられと示されています。
これは、私たちの胃は左寄りにあるためです。
逆に右向きに寝ると、胃と食道の間にある下部食道括約筋がゆるみ、胃酸が逆流しやすくなるようです。
食後に胸焼けを感じたら、頭を高めにして、左向きで10分ほど横になってみてください。
腰痛を和らげる
腰痛を防ぐには、仰向けで寝るのが一番です。硬い床で寝ることも効果的です。
しかし、先に述べたようにいびきをかく人や睡眠時無呼吸症候群の人は仰向けでは深い眠りを得られなくなります。
そこで次に良いのが、横向き寝です。
できれば、脚を伸ばして膝の間に枕を挟み、背骨をニュートラルな状態に保つとよいでしょう。
腰痛に最もよくないのがうつぶせ寝です。
ケック医学の脊椎外科医レイモンド・J・ハー医学博士によると、うつ伏せ寝は、背骨の自然なカーブを平らに強いるので背骨の筋肉と関節に圧力がかかってしまい、大きな負担となります。
また、うつ伏せで首だけを横向きにすると、首痛や背中痛を引き起こすこともあります。
横向き寝にはデメリットもある
睡眠が心身の健康を保つためにいかに重要であるかは、誰もが知っていることです。
しかし、睡眠時間と同じくらい大切なのが、寝方だと考えられています。
心臓に疾患がある人など持病によっては、左向きに寝るとかえって不快感を感じることもあるからです。
また、シワや肩こりなどが気になる人は、別の寝姿勢の方が良い場合もあります。
横向きで枕に顔を押し付けるように寝ると、肌が圧迫されてストレスとなり、シワの原因になるので注意してください。シワの原因となる圧迫感を軽減するには、仰向けで寝る方がよいでしょう。
また、横向きで寝ると、マットレスと接する肩に負担がかかるため、肩こりを引き起こしたり、悪化させたりする可能性があります。
肩こりのリスクを最小限に抑えるには、左右偏りなく交互に寝たり、マットレスに深く沈み込みすぎないように、サポート力のあるマットレスと枕を組み合わせたりする工夫をするとよいでしょう。
このように横向き寝にはさまざまなメリットがありますが、すべての人に適しているわけではありません。
横向き寝に不快感や痛みを感じる場合やどのような寝姿勢が良いのか分からない場合は、医師に相談することをお勧めします。