布団の上で寝て過ごしてばかりいると体はどうなるのか?

人は、平均して人生の約3分の1は寝ています。

そして、眠るのは、ベッドや布団ですが、もしあなたが、どこにも出かけることなく、全ての時間を布団の上で寝て過ごした場合、体はどうなるのでしょう。

「睡眠は大切だ」とよくいわれますが、寝てばかりいるのも体にとって害なのでしょうか?

悲しいことに、それは事実です。

信じられないかもしれませんが、NASAは、この「長期にわたって寝て過ごした場合の体への弊害」を検証するために、ある男性に1万8千ドルを払って70日間寝て過ごしてもらいました。

このNASAの研究で分かってきたことを中心に、ここでは、布団で寝てばかりいることによる、体への悪影響について分かりやすく紹介します。

長期間の寝たきりが人の体に与える影響

NASAは、寝て過ごす期間が長すぎることによる人体への微小重力の影響について、研究を行いました。

この長い時間ベッドで横たわる実験は、宇宙空間での長距離飛行が、宇宙飛行士の体に与える影響をシミュレーションしたものでした。実は、長期間にわたって微小重力の環境で過ごす宇宙飛行士には、寝たきりの人と同じような体の機能低下がみられることが分かっているのです。

まず、ベッドを頭側に6度傾けて、体液を上半身に移動させ、低重力環境の影響の一部が再現されました。被験者には、このベッドで70日間寝て過ごしてもらいます。

すると、70日後に、被験者が実験後初めて垂直に立ち上がったとき、彼の心拍数が150まで上昇し、倒れそうになったのです。健全な人の心拍数が平均で60から70程度であるのを考えると、彼の数値が異常な高さであることが分かります。

これは、横になった姿勢(低重力環境)から、立ち上がって急に重力の影響にさらされたことで、下半身に血液が移動して、心臓へ戻る血流が減少した結果、送り出される血流も減少して、脳まで十分な血液量が届きにくくなったためだと考えられます。

しかし、この研究は、微小重力を想定しているので、少し特異なケースです。

それでは、傾斜のない普通のベッドで、長期にわたって寝て過ごした場合は、どうなるのでしょうか?

褥瘡(じょくそう)ができる

さて、まずは、褥瘡(じょくそう)が進みます。褥瘡とは、床ずれとも呼ばれており、骨とベッドの間に挟まれた皮膚や周辺の柔らかい組織が、体重で圧迫されて、血流が悪くなることによって引き起こさる皮膚の損傷です。

栄養や酸素を運ぶ血流が十分にいきわたらなくなると、その部位の体細胞は損傷を受け、最終的に死んでしまうこと(壊死)すらあります。

これらは、尾骨付近や腰、および、肩甲骨のあたりにできやすいといわれています。

筋力の低下

体は、日に日に弱くなっていきます。

筋肉は萎縮して、質量が減少していきます。

筋肉は、全く使わないでいると、1週間で筋力の10%から15%を失います。それは、たったの3週間から5週間くらいで、筋力の半分近くが失われることを意味します。

体力は著しく低下し、疲労感を感じるようになり、より一層活気がなくなるでしょう。

骨が弱くなる

骨もまたその質量を失い、最終的に本来の約40%から70%くらいにまでなります。

骨は、健全な状態を保つために、常に破壊、吸収されて(骨吸収)、新しい骨が形成されています。

しかし、寝たままの状態が続くと、骨吸収は活発化していき、最終的には、新しい骨の成長速度を上回るほど早く進行していきます。

これは、骨粗鬆症につながる可能性があります。

心拍数の増加

さらに悪いことに、寝たきりになると、2日経過するごとに、安静時の心拍数が1分間に1回ずつの割合で増加します。これは、心臓から送り出せる血液量の減少を回数で補おうとするためです。

さらに、体の全血液量も減少します。血液は、酸素を運ぶ役割があるので、細胞の酸素摂取量が少なくなると、疲れやすい体になっていきます。

身体機能の低下だけではありません。精神機能にも影響を及ぼしていき、不安感を増していきます。

その他にも、腎臓結石、および肺炎のリスクの増加といったさまざまな弊害を体に引き起こすおそれがあります。