気付けば夜中「食べずに寝る vs 寝る前に食べる」どっちが正解?

気付けば夜中「食べずに寝る vs 寝る前に食べる」健康にはどっちが正解?美容と健康のためになる話

あなたは、「夜、寝る前に食べると太る」という過去の常識にとらわれていませんか?

これはもはや大きく変わり、新たな研究によって、空腹感を感じながら寝ることは、良いことよりも睡眠や脂肪、筋肉量、体重、カロリー消費量などへの悪い影響が大きくなる可能性が示されました。

私たちは、帰宅時間が遅くなると「お腹を空かせたまま寝るか」、それとも「寝る前に何か食べるか」という選択に迫られます。

たしかに寝る前の空腹も満腹も、体にとってはよい選択肢とはいえません。

しかし、幸いにも寝る前にお腹がすいた場合、「食べることに引け目を感じる必要はない」と専門家はいいます。

ただし、寝る前にストレスを感じずに食べて寝るためには、ちょっとしたコツがあるようです。

今回は、寝る前に何も食べないで寝ることのデメリットを中心に、寝る前の空腹を避けるための効果的な食べ方を紹介します。

「夜、寝る前に食べると太る」は過去の常識?

「夜、寝る前に食べると太るよ」という言葉は、もはや当たり前ではなくなってきました。

研究がすすむにつれて、空腹感を感じながら寝ることは、良いことよりも睡眠や脂肪、筋肉量、体重、カロリー消費量などへの悪い影響が大きくなる可能性が示されたことで、過去の常識は大きく変わりつつあります。

それでは、夜にお腹が空いているにもかかわらず、食べ物の代わりに睡眠を選ぶ場合、あなたの体はどのように反応するのかについて以下に紹介していきます。

お腹を空かせて寝ると筋肉量が減る

寝ている間の体は、私たちが意識をしていないところで、一生懸命働いています。

たとえば、体は深い眠りに入ると、修復モードに入り、筋肉量を増やします。

細胞の損傷を修復して、たんぱく質から筋肉を作りますが、これをするにはエネルギーが必要です。

しかし、空腹で寝ると、体の代謝プロセスに必要なエネルギーが制限されます。

欧州心臓病学会が行った研究によると、夜ご飯食べないで寝た場合、たんぱく質を筋肉に変換するために必要な栄養素が足りないので、代わりに体が筋肉を分解してエネルギーをつくり始めます。

さらに、これを長く続けていると、筋肉量が減少するだけでなく、最も重要な筋肉である心臓をも傷つけてしまう可能性があるといいます。

つまり、ジムで筋トレの回数をいくら数えたとしても、空腹で寝てしまえば何の意味もなくなってしまうようです。

ダイエット中でも、空腹で寝ることはおすすめできません。

食事を抜いても空腹感は治りませんし、夜ごはんが遅くなるほどジャンクフードなど食欲が暴走しやすい食事に偏る傾向があるからです。

そのため、筋肉の損失を防ぐには、タンパク質を中心に夜ご飯を食べることを意識するとよいようです。

太りやすくなる

多くの人は、空腹でベッドに行くことによってちょっとした達成感を感じるかもしれません。

しかし、実際には、あなたが空腹に感じるほど、後で暴飲暴食に陥る可能性が高くなります。

そうなるとほとんどの場合、朝起きて、バランスのとれた健康的な食事を自分で作る代わりに、テーブルのドーナツなど何でも簡単につかんで食べてしまう傾向があるようです。

「空腹で食料品店の買い物に行くべきではない」という話を聞いたことがありますが、とてもお腹がすいた状態では、血糖値が低下している可能性があり、ジャンクフードや誘惑的なスナックの山を見てたくさん食べたいという誘惑に駆られてしまうのです。

さらに悪いことに、空腹時に寝ると、午前中の大食いにつながる可能性があり、不健康なレベルまで血糖値を上げてしまった結果、一日の残りの代謝を乱したり、肥満のリスクを高めたりします。

少し奇妙にも聞こえますが、空腹で寝ると体重が増えるかもしれないのです。

日中のカロリー消費量が減る

さて、「夜は食べ物を必要としないかどうか」について、もう一度考えてみてください。

あなたの体は眠っていても多くの身体機能を果たしており、1日24時間常にエネルギーを必要としています

だからといって、常に食事をしなければならないわけではありませんが、体の機能を円滑に維持するためには、食物をベースとした十分なエネルギー(燃料)を補給する必要があります

フロリダ州立大学の研究者は、寝る前に30グラムのプロテイン入りシェイクを飲んだ男性は、寝る前に何も食べなかった人に比べて、翌朝の安静時エネルギー消費量(安静時に体が燃焼するエネルギー量、またはカロリー)が高いことを発見しました。(ただし、プロテインシェイク(液体)を寝る前に飲むと、夜中にトイレで目を覚ます可能性があるのは覚えておいてください)

疲れが取れない

また、空腹で寝たことによるエネルギーレベルの低下は、翌朝に疲れを残し、一日の残りの部分に持続的な影響を与える可能性があります。

そのような場合は、寝る前にタンパク質や食物繊維を多く含んだ軽食のような睡眠を助ける食べ物を少しずつ食べてみるとよいでしょう。

目が覚めたときには、空腹で寝た場合よりも爽快感があり、元気になっていることでしょう。

フロリダ州立大学の栄養学科の研究によると、就寝前の軽食はエネルギーを向上させるだけでなく、代謝を上げる効果があることもわかっています。

イライラにつながる

誰一人として「空腹+怒り」という恐ろしい組み合わせを好む人はいません。

しかし、お腹を空かせたまま寝ると、セロトニン(心身の安定や安らぎを与える神経伝達物質)レベルが変動し、仕事や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります

別名「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニン濃度は、ストレスによって変動するだけでなく、空腹時にも低下します。

セロトニンを作る必須アミノ酸は、体内では作られず、食べ物からしか摂取できないため、空腹が長時間続くと、その結果として生じるセロトニン濃度の低下は、あなたを余計に不機嫌にすることができます。

ちなみに、メラトニンと呼ばれる催眠作用のあるホルモンの原料は、セロトニンです。

あなたは、今までに、朝はコーヒーを飲みたいからイライラしていると思っていたのではないでしょうか?

実のところ、空腹時は誰でも不機嫌になりやすいことは知られていますが、攻撃性を抑制する役割をもつセロトニンが減少したことで、衝動的行動に出やすいことを正当化する科学的な証拠も、ケンブリッジ大学の研究者らによって発見されています。

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睡眠不足の原因になる

空腹状態で就寝すると、睡眠にも影響を与えます。

胃が空っぽになると、胃が強く収縮して空腹感を感じることがあります。

これについて栄養学の専門家からなる米国の最大組織「Academy of Nutrition and Dietetics」の広報担当者である登録栄養士ウェズリー・デルブリッジさんは、次のようにいいます。

空腹感は、脳を警戒し続けるため、眠りに落ちたり、深い眠りに入り難くしたりします。

結果的に、夜に十分な深い睡眠を得られず、体の回復が遅れたり、翌朝に疲れを感じたりする原因となります。

また、空腹によってインスリン値が低くなることも、睡眠に悪影響を及ぼします。

参考までに、睡眠の2時間前に、炭水化物(糖分)をとったり、睡眠の1時間前にキウイを2個食べたりする(台北医学大学の研究)と、睡眠の質が上がると示した研究もあります。

寝る前にお腹が空いたときにおすすめの食事

そうはいっても、食べ物なら何でもよいわけではありません。脂っこいものや食べ過ぎは、膨満感、不快感、胃酸の逆流、胸やけにつながります。

最近の研究では、寝る前は、栄養価が高く、カロリーの少ない食べ物がベストだといわれています。

栄養バランスがカギになることを覚えておいてください。

最善策は、一日を通して定期的に食事の間隔を空けるようにすることです。そうすることで、インスリンレベルを安定させ、 夜間の暴飲暴食を防ぐことができます。

以下に寝る前の食事のコツを紹介します。

  • タンパク質を多く含む食品を食べる
  • 寝る2、3時間前など適度な時間帯に、夕食でたんぱく質を多く摂ることで、寝る前の空腹を回避することができる
  • ベジタリアンの方は、ナッツ類やタンパク質を多く含む野菜、アボカドなどのヘルシーな脂肪を摂ることで、代謝を正常に保つことができる

空腹で寝るメリット説もある

そうはいっても空腹で寝ることは悪いことばかりではありません。

寝る前にお腹が空いていると、目が覚めたときに食欲が出やすくなります。

それが、食物繊維とたんぱく質が豊富な朝食であれば、満腹感を維持しやすいため、体重減少と健康的なライフスタイルに大きなメリットが得られ、一日中、過度の(カロリーが高い)間食を避けることができます。

逆に深夜に食事をすると太りやすくなるという研究結果もあります。

満腹の状態で寝ると、活動量が減る夜中に血中のインスリンとグルコースが急増し、寝ている間に余分なカロリーを脂肪に変えてしまうからです。

代わりに、一部の専門家は、夕食と朝食の間に少なくとも12時間おくことを提案しています。

Cell Metabolism誌に発表された研究では、16時間絶食したマウス(それでも高脂肪・高カロリーの食事を摂ったマウス)は、健康的な食事を摂ったマウスとほぼ同じくらい痩せていることがわかりました。

しかし、日中にパンケーキやキャンディーバーを食べ過ぎてはこれも意味がありません。脂質の多い食べ物(油もの)も食欲を増加させるので減らした方がよいでしょう。

つまり、寝る前を問わず、栄養素を考えて食事をコントロールすることが前提なのです。

食事のコントロールが大切

臨床栄養学のアメリカジャーナルに発表された2005年の研究によると、適度な間隔を開けた定期的な食事は、持続可能なエネルギーを提供し、健康的な代謝を維持しました。

繰り返しますが、大切なのは、身体機能を維持するために、食事をコントロールすること。

お腹を空かせて寝るという決断をするのではなく、日中の食事時間の調節に力を入れ、「運動とバランスのとれた食事」の2つを心がけてください。

ダイエット目的で日中にカロリー制限をしても、夜にお腹が空いてしまうようでは、長期的には失敗に終わるだけです。

もし、夜にお腹が空いたと感じたら、寝る直前にお腹いっぱい食べたいという衝動を抑え、必要な栄養素を奪わない程度のヘルシーなおやつを食べることで、安らかな夜を過ごせ、翌日には幸せで生産的な朝を迎えられることを忘れないでください。

余談:なぜ冬になると空腹になるの?

多くの人が冬に食欲が増す傾向がありますが、理由についてはいくつかの異なる理論があります。

ある研究者は、カロリーを備蓄するのは原始的な本能だと考えています。

冬眠前の熊のように 体の温かさを保つためです。

空腹が、冬の寒くて暗い雰囲気と関係があると指摘する研究者もいます。

慰めを求めて、炭水化物やカロリーの高い食品を切望するからです。

なかには、冬は、クリスマスや正月などの休日が多いために、単にごちそうを食べる機会が多いからだという人もいるようです。

専門家でも、意見はさまざまでおもしろいですね。

参照元:
regular meal frequency
What If You Go To Sleep Hungry?
Beneficial metabolic effects