つぶらな瞳の赤ちゃん。
あまりの愛おしさに思わず、「食べちゃいたいくらい可愛い」という言葉が出てしまうのも納得。
しかし、ハムスターのお母さんは、そんな生まれたての赤ちゃんをぎゅっと抱きしめるのではなく、むさぼり食うことがあります。
このような「子殺し」とも呼ばれる行為は、豚や昆虫、鳥、ヘビにとどまらず、霊長類にも見られ、動物界では決して珍しくはないようです。
そこで今回は、動物界で、母親が自分の子供を食べる「子殺し」がなぜ起こるのかについて紹介します。
動物界の子殺しは自然の摂理?
人間であれば、子を殺すことは間違っているという認識があります。
しかし、動物界では、本来なら、子孫を残すのが本能であるはずが、同種の、しかも自分の遺伝子をもつ我が子を食べてしまうことがあります。
奇妙にさえ感じますが、このような子殺しは、一体どのような原因で引き起こされるのでしょうか?
どうやら、動物界の子殺しは、種の保存において重要で、それも自然の摂理であるようです。
子殺しは親が遺伝子を確実に残すための手段のひとつ
動物界で見られる「子殺し」は、究極的な「自滅」行為だと考えられています。
しかし、動物界の場合、自滅への衝動にかられた場合、自ら命を絶つのではなく、次世代の若者を共食いすることが成功戦略のひとつとなっています。
たとえば、ハムスターの場合、群れを管理する方法の一つとして、子供を食べる例が見られます。
母親は、平均して8匹から9匹の子供が生まれ、そのうちの2匹を食べます。
そこで、科学者がさらに4匹の子供を加えると、ハムスターのお母さんは4匹を食べることが分かりました。
しかし、生まれた日の子殺しが始まる前に、数匹を別の場所に移動すると、母親は子供を食べるのを止めたのです。
ハムスターの子殺しについて科学者らは、母親が、彼女が養えるのに十分なだけの生存者にしぼり、個体数を減らすことで、自らの遺伝子を確実に残し、引き継がせていると考えています。
子供を食べて次の繁殖へ備えるトカゲ
トカゲには、緊急時のみ赤ちゃんを食べる種がいます。
捕食者に卵を狙われると、母親が卵を全部自分で食べてしまうのです。
これは実際に理にかなっています。卵が誰かの昼食になる運命にあるなら、それらを食べて自らの栄養にすることで、次の繁殖に向けて準備できるからです。
しかし、ときには、ただ親の邪魔になるという理由で、食べられてしまうこともあるようです。
より多くの赤ちゃんを作るために子供を食べる魚
オスのサンドゴビー(ハゼ科)は、複数のメスの卵を短期間で受精させ、すべての卵を一つの巣で一緒に世話をします。
すると、再び交尾するためには、彼はすべての卵が孵化するのを待たなければならなくなるため、交尾の機会を逃さないように卵を食べてしまうのです。
より多くの赤ちゃんを作るために、自分を赤ちゃんから解き放つと考えられています。
要するに、動物界全体の生き物が、自らの遺伝子を伝えるための「資源、エネルギー、チャンス」を最大化するために、時には子供を食べるというのは理にかなっているようです。