卵の殻は食べれるって知っていますか?
今回は、卵の殻を食べることの健康へのメリットと注意点、さらに安全で栄養満点のレシピ「卵の殻パウダーの作り方」を紹介します。
実は、卵の殻は、日本人に不足しているカルシウムをお金をかけずに効率的に摂取できる優れものなのです。
なんと、たった1個分の卵の殻で、一日に必要とされるカルシウムの2倍から4倍も摂取できるといわれるほど「カルシウムの宝庫」。
とはいえ、ご存知の通り、卵の殻の「ガリ」とした食感は不快なだけでなく、食中毒の起こりやすい時期は特に、小さな殻の破片でも心配になりますよね。
しかし、日本の卵は、店頭に並ぶ前に卵を殺菌洗浄するうえ、万一、殻の破片に菌が残っていたとしても胃酸で消化される程度なので、健康な人には問題は起こりにくいといわれています※1。
それどころか、ゴミとしていつも捨てている卵の殻も、適切な方法で食べれば、骨粗しょう症の症状を予防する強い味方になってくれます。
ただし、カルシウム不足同様に、摂取しすぎも問題となるので、下記の注意点をもとに食生活のオプションとして有意義に活用してみてください。
※1:ただし、もともと手に菌がついていたり、劣悪な環境で卵が保管されたり、病気で免疫力が落ちたりした状態などは、絶対に大丈夫とはいえないので注意してください。
卵の殻はカルシウムの宝庫
カルシウムの多い食品といえば、何を思い浮かべますか?
おそらく一番に思い浮かぶのが、牛乳や乳製品。それに、大豆製品や小魚などが続くかもしれません。
実は、骨ごと食べられる小魚よりもカルシウムの含有量が多い食品があります。
それが「卵の殻」。
なんと、卵の殻は、95パーセントが炭酸カルシウムでできており、1つのニワトリの卵あたり、約2g(2000mg)ものカルシウムが含まれています。
牛乳200mlに含まれているカルシウムが約220mgであることを考えると、どれだけ豊富かが分かりますね。
日本人はカルシウム不足
カルシウムは、毎日欠かさずに摂取したい栄養素であるにも関わらず、現代の食生活では不足気味だといわれています。
特に日本人にとって、最も足りていない栄養素のひとつ。
一日の平均摂取量は、欧米の1/2から1/3程度だとわれ、問題視されているのです(国民健康・栄養調査参照)。
もし、血中のカルシウム濃度が不足すると、骨からカルシウムが溶けだして補充するようになるので、必然的に骨はもろくなっていきます。
これは、骨を強くするためにカルシウムがどんどん蓄積される成長期をはじめ、骨粗しょう症になりやすい高齢者には特に大きな問題です。
卵の殻を食べるメリットとは?
それでは、今までゴミとして捨てられてきた卵の殻をうまく食生活に取り入れられるだけで得られるメリットを紹介しましょう。
卵の殻の栄養効果
- 丈夫な骨や歯を作って骨粗しょう症を防げる
- 脳の働きを活性化して集中力を高める
- 高血圧、糖尿病、動脈硬化、認知症予防など多くの健康効果が期待できる
しかし、ひとつだけ注意すべき点があります。それは、卵の殻に含まれる細菌の処理です。
卵の殻にはサルモネラ菌を始め、たくさんの細菌が含まれていることを想定して、適切に調理しなければなりません。
卵の殻を安全に食べるための調理方法
卵の殻を毎日の食生活に取り入れたいなら、加熱殺菌した後、粉末状にするのが一番手軽で簡単な方法です。
それでは、さっそく卵の殻でつくる粉末「カルシウムパウダー」の作り方を紹介していきましょう。
この粉末に含まれるカルシウム量は、小さじ1杯で約800mg(牛乳4杯分)に相当するため、一日に小さじ1/2杯を目安にホットケーキの粉や天ぷらの衣などに混ぜて食べてみてください。
- 卵の殻を約10分間茹でて殺菌します。
- 95度(華氏では200度)に温めたオーブンで10分から15分焼きます。
- ジューサーやフードプロセッサーで、パウダー状になるまで粉砕します。
- これをピザやパン、クッキーなどの生地、カツの衣などに混ぜて料理に使いましょう。
茹でる時に、浮いた殻は、木べらで押さえるようにして、湯につけてください。
卵の殻でつくる「カルシウムパウダー」の注意点
この卵の殻パウダーは、優れたカルシウム源として考えられており、特に女性の老人性骨粗しょう症の進行や痛みをおさえる効果があることが研究で明らかにされています。
ただし、長期間にわたって摂り過ぎてしまうと、心臓や腎臓、甲状腺などに過度の負担がかかり、かえって健康を害するリスクが高まるので、1日1000mg(卵の殻1/2個分)を超えないように適正な摂取を心がけましょう。
そもそも一度にたくさん摂取しても、吸収できるカルシウム量は限られているので、3度の食事やおやつに分散して食べる方が効率のよい摂取ができます。
骨を強くする食事のオプション
誰もが年を取っても骨を健康な状態に保ちたいものです。
また、骨がカルシウムを蓄積するうえで重要な時期、成長期の子供がいる家庭では特に骨を強くする食事には気を付けたいところですね。
もちろん骨を強くするには、乳製品や緑黄色野菜、いりこなどの小魚、大豆製品などのカルシウム豊富な食品を食べることは大切です。
しかし、上に記した「卵の殻パウダー」ならお金をかけず、小さじ1/2杯加えるだけで簡単にできるので、ぜひ毎日の食事にオプションとして加えてみてください。
同時に、カルシウムの吸収を助けてくれる食品、たとえば、キノコ類に含まれるビタミンDや納豆やカボチャに多いビタミンKなどを食べたり、逆にカルシウムの吸収を阻害するリンが多く含まれるお菓子や甘い飲み物を避けたりして効率よく摂取できるのが理想的です。
後は適度な日光浴と運動で、丈夫な骨を作りましょう。