牛乳がヨーグルトに変わる仕組みとは?バクテリアのユニークな働き方

2018年12月25日

クリーミーで味わい深く、適度な酸味もあることから、世界中に愛用者が多いヨーグルト。

市販品の添加物や甘味料などが気になる人は、ヨーグルトを毎日自分で作って食べているかもしれません。

とはいえ、今までに「買ってきた牛乳に、ヨーグルトを少し入れるだけで翌朝には自家製ヨーグルトができる」なんて不思議に思ったことはありませんか?

実は、このヨーグルト特有のクリーミーで味わい深いコク、酸味などは、皆が予期せぬであろうバクテリアによって作られているのです。

ここでは、牛乳がどのようにしてヨーグルトに変わるのかについて、生きたバクテリアが粘り気や味、香りを生み出す仕組みをもとに分かりやすく紹介します。

ヨーグルトを作るのはバクテリア

ほとんどのヨーグルトは牛乳、つまり「牛の乳」から作られていますが、世界には、ヤギや羊のヨーグルト、さらには、モッツァレラチーズの原料としても知られるバッファロー(水牛)ヨーグルトもあります。

これらのヨーグルトは全て、バクテリアの働きによって作られています。

バクテリアとは、目には見えない微小な微生物で、特に細菌を指すことが多いようです。おそらく病気を引き起こす病原菌について話をするときに誰もが一度は「バクテリア」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

もしかしたら、バクテリアを生きたまま体内に入れるなんて恐ろしいと感じる人もいるかもしれません。

しかし、動物や植物にさまざまな種類があるように、バクテリアにもたくさんの種類があり、私たちがヨーグルトを作るために牛乳に入れる乳酸菌と呼ばれるバクテリアは、体に良い影響を与えるといわれる種の微生物で、体内にも棲んでいます。

体に良い作用を及ぼす菌「プロバイオティクス」

一般的に、ヨーグルトやチーズ、バターなどを作るときは、体に良い作用を及ぼす乳酸菌を加える前に、牛乳を加熱殺菌することによって、病原菌や腐敗を引き起こす菌などが取り除かれます。

このようにして悪い菌が取り除かれたら、次に行われるのが主役である「良い菌」を投入するというヨーグルトならではの特別な工程です。これを私たちは「プロバイオティクス」と呼びます。

私たちの体内には、すでに良い影響を与える細菌がいくらかあり、消化器官を健康に保つのを助けています。

プロバイオティクスは、便秘のときに腸内フローラ(腸内に棲む微生物の生態系)のバランスを改善したり、特定の医薬品による副作用を抑えたりするなど、健康増進の特別なオプションとして体内に余分に追加されることもあります。 

乳酸発酵によって牛乳は酸性に変わって固まる

牛乳に加えられた場合、乳酸菌は、牛乳にあるブドウ糖を食べて(分解)、乳酸と呼ばれる酸性の成分を作り出し、牛乳の酸性度数を徐々に高めていきます。

これが「発酵」と呼ばれるもので、酸性度が高まるにつれて牛乳の中の悪い菌は弱まり、乳酸菌が増殖して発酵が進みます(pH値が4付近まで低下すると発酵が止まる)。

余談ですが、ヨーグルトが牛乳よりも長持ちするのは、酸性によって腐敗菌の増殖が抑えられているからで、乳酸菌が好む弱酸性の環境は腸内においても悪玉菌に不利な環境を作り出すことから、感染性の腸炎の治りを早くするとも考えられています。

なにより、牛乳の主要タンパク質であるガゼインには、酸(性)の作用によって固まる性質があり、このゲル化(凝結)がヨーグルト独特の粘性やクリーミーな食感を生み出しているのです。ちなみに、ヨーグルト独特のあのすっぱさも、乳酸の酸味刺激に舌の受容体が反応したものです。

こうして酸によってできた牛乳の固形成分は、凝乳(カード)と呼ばれ、これが熟成されるとチーズになります。

ヨーグルトの風味を決めるもの

体に有益に働くといわれるプロバイオティクスにもさまざまな種類があります。

たとえば、アメリカ食品医薬品局が指定しているサーモフィルス菌やブルガリクス菌(ラクトバチルス ブルガリクス)など、使われる菌によってヨーグルトの味も酸味が強いものから苦みのあるもの、マイルドな風味のものまで異なります。

また、ヨーグルトの原料となる牛乳の種類も味に影響します。人間の母乳と栄養素が似ているといわれるヤギの乳から作られたヨーグルトに関しては、牛の乳に比べて酸味も強く、風味もしっかりしているといわれています。

さらに、豆乳やココナッツミルク、アーモンドミルクなど、動物の乳から作られていないヨーグルトもあり、それらも牛乳と同じ種類のプロバイオティクスが加えられています。

そして、それぞれのヨーグルトの種によって、発酵に適した温度や加工時間などの過程も異なります。

最後に

できたヨーグルトには、人工的な香味料によってバニラやイチゴのような風味がつけられたり、色や砂糖が加えられたりするだけでなく、異なるバクテリアが付加されることもあります。

科学的な根拠は明確にはされていませんが、プロバイオティクスのようなバクテリアには、悪玉菌を減らして腸内細菌のバランスを改善し、腸管免疫の働きを助ける力があると考えられているからです。

また、乳酸発酵によってつくられたヨーグルトは消化吸収されやすく、これらのヨーグルトを作り出す乳酸菌を代表とするバクテリアたちの健康に及ぼす影響への期待は高まっています。

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