キリンの首の長さのなぞ解きは、フランスの自然科学者ジャン=バティスト・ラマルク氏によって示されました。
彼は、キリンの首が長い理由は、エサ取りで優位にたつために適応した結果と遺伝的変異の両方だと考えました。
世界で最も背の高い動物「キリン」は、なんと首だけで全体の38%近くの高さをもちます。
これについて、有名な自然科学者チャールズ・ダーウィンも「種の起源」で、次のように示しています。
さっそく以下に、キリンの首の長さの秘密について具体的に見ていきましょう。
高いところの植物を食べるため
ジャン=バティスト・ラマルク氏は、キリンの生育地は昔(1200万年~1400万年前)、森林からサバンナへと移行し、土壌が乾燥した不毛の地になったことを発見しました。
また、キリンは、アンテロープやゾウなどの他の草食動物とのエサの奪い合いに絶えずさらされていました。
そのため、キリンは他の草食動物が近づけないような場所で手つかずの木の葉を食べるために、首を伸ばすしかなかったのです。
その葉は、キリンよりもずっと高い位置にあることが多く、キリンがこれらの葉に到達するためには、絶えず首を伸ばさなければなりませんでした。
つまり、エサの奪い合いを避け、優位に立つためには、首を伸ばして自然環境へ適応していかなければならなかったのです。
遺伝子の変異
しかし、首を長くするには、脊椎を伸ばすだけでなく、てっぺんまで血液を送るための強い心臓や血管の機能が必要となります。
キリンの脳は、心臓より約1.5メートル上にありますが、大きな心臓と血液の厚い壁のおかげで、キリンの血圧は人間の2倍も高く、重力に打ち勝って脳に血液を送り込むことができるのです。
他にも、7つの長い椎骨と強力で柔軟な靭帯と筋肉からなる首、高い身長を維持するための脚、頭、長い舌と上下運動を可能にする関節など、体全体を適応していかなければなりません。
そこで、ジャン・バティスト・ラマルクは、キリンの長い首は、何世代にもわたって繰り返し首を伸ばした結果と遺伝子の配列の変異が共に起こったためで、それが子孫に伝えられたと結論づけたのです。
キリンの首が長い理由
実のところ、キリンの首がなぜ長いのかに関しては、背の高い植物を食べるための自然淘汰説の他、周辺視野が広いので捕食者をみつけるのに有利説、オス同士の戦いの武器として(メスは男女の遺伝的相関関係のため)進化した説、表面積が大きいと体温調節がしやすい説など、生物学者の間では未だに大きな議論となっています。
なぜ首が長いのか、その結論を出すには、多くの要素を考えなければいけません。
実際、キリンは首をいろいろなことに使っていることを考えると、首が長くなったのは、ひとつの要因だけでなく、さまざまな要因が重なってのことで、どれが最も強く影響を与えたかを明確にするのは難しいのかもしれません。