実は、ポップコーンのあのふわっとした軽い食感は、加熱前の粒の固さに理由があります。
ポップコーンの原材料は、とうもろこしの種を、干して乾燥させた小さくて固い粒。
それでは、この小さな粒を加熱しただけで、なぜふわふわの軽いポップコーンができるのか、ポップコーンがはじける不思議な現象について以下にみてきましょう。
ポップコーンの食感は、種内部の水分のおかげ
先程、ポップコーンの元になる粒は、とうもろこしを乾燥してつくられると話しました。
しかし、実際には、どんなに乾燥したとうもろこしの種子でも、中にはわずかな水分を残しています。
そして、この水分がポップコーン作りにはとても重要なのです。
種子の内部に閉じ込められた水分は、加熱されると膨張して体積が増えます。
ここで、水の性質を思い出してください。
熱い湯は、加熱し続けると、沸騰(内部から気化)して水蒸気に変わりますね。水蒸気は、表面から気化して蒸発していきます。
つまり、水は、液体から気体になります。私たちがよく目にするやかんの口から出ている湯気は、熱せられて気体になった熱湯です。
しかし、固いとうもろこしの殻で覆われた水分は、加熱されて水蒸気になったとしても、やかんのような出口がありません。
そのため、とうもろこしの内部では、加熱されて膨らむ水蒸気が、どんどん成長して内部からぐいぐいと押し始めます。
すると、この内部からの圧力に耐えきれなくなったとうもろこしの種は、ポーンとはじけてしまうのです。
なぜ固い粒が大きく膨らむのか
加熱する前のとうもろこしの種は小さくて固いものでした。
それが、ポップコーンになると、一つ一つの粒が大きくなり、全体的にかなりの量になります。
これは、内部の水分が膨らむときに、デンプンと呼ばれるとうもろこしの種に含まれている物質も膨らんであふれ出すからです。
水蒸気の場合、冷やすともとの液体に戻ります(凝結)が、一度膨らんだポップコーンは、冷めたところで、もとの硬くて小さな粒には戻りません。
液体・気体 加熱によって姿を変えるもの
私たちの身の周りには、水やポップコーンのように加熱によって、大きくなったり、小さくなったりと状態を変化させるものがたくさんあります。
それらを、再び冷却しても、元の姿に戻ったり、何も変化しなかったりと物質によってさまざまです。
ぜひあなたの周りのもので、温度によって姿を変えるものを見つけてみてください。卵やアイスクリームなど、台所にあるおいしいものの中にも隠れていますよ。