トムとジェリーのチーズといえば、穴の開いた「エメンタールチーズ(Emmental cheese)」。
スイスチーズを代表する硬質タイプのチーズで、この穴は「眼」と呼ばれています。そして、この「眼」は、スイスチーズを作るうえで欠かせないものなのです。
ここでは、チーズの穴の正体について、米国農務省(USDA)の科学者であり、「The Science of Cheese」の著者でもあるマイケル・チュニック(Michael Tunick)氏によるアドバイスをもとに分かりやすく紹介します。
スイスチーズの穴はなぜできるのか?
チーズは、バクテリアによって発酵、または、熟成が促されます。
スイスチーズの場合は、その工程で、バクテリアがプロピオン酸と二酸化炭素を生成します。
このときに発生した小さな二酸化炭素の泡のいくらかは、次第に集まっていき、まだやわらかいうちの凝固したチーズの中に閉じ込められてしまいます。
どうやらチーズの穴の正体は、チーズが固まるときにできた空気のポケットだったのです。
チーズにはさまざまな種類のものがありますが、小さな眼があるタイプでいえば、スイスチーズの他にもグルュイエールチーズが有名です。
これらのチーズは、中に穴や細長い切れ込みのような空洞があるので、切ると形が崩れてしまうのを防ぐ目的で、工場での生産時に食品添加物が混ぜられることもありますが、自然な製法で作られたものは、穴が大きいほど十分に熟成された風味豊かなチーズであるといわれています。