航空会社は空港を利用しなくても、上空を通るだけで他国にお金を支払っているって知っていますか?
これは、他国の上空を飛ぶための手数料、いわば通行料のようなもので、「上空通過料」と呼ばれています。
ここでは、上空通過料や航空会社が負担しなければならないさまざまなコストの謎について分かりやすく紹介します。
ほとんどの国で、上空通過料は徴収されており、これを避けて経由するのは至難の業であるようです。
上空通過料とは
国は、自分の土地に権利を持っているように、上空にも権利があります。そして、ほとんどの国は、陸地や洋上の領空を外国の航空会社に「賃貸」するかたちで、通過するたびに手数料を徴収しています。
一部の国では、この通行料以外に、航空管制サービスも提供しており、これらの手数料の一部は、サービス(航空管制や天候情報提供など)のための人件費や施設維持費などに充てられています。
このように、航空会社は、機体維持費や燃料費、整備費などだけでなく、上空通過料をはじめ、国が管理している空港の着陸料や停留料、保安料をも負担しなければならないことがあります。
ちなみに、日本の場合、それに加えてさらに、世界的にみても稀な航空機の固定資産税や、航空機燃料税なども徴収されています。
航空会社が負担するさまざまな手数料
上記のような手数料には基準はなく、各国は、コストを決定するためにさまざまな指標を設けています。
たとえば、カナダの場合、飛行機の重量と移動距離をもとに料金が決められており、アメリカは、距離だけが考慮に入れられます。
そのため、航空会社は、高い手数料を支払わなければならない国を避けて、飛行経路を長くとることもあるようです。
しかし、領空は、陸地よりもはるかに広いことが多く、特定の国の領空を避けることは、想像以上に難しいといわれています。
その最たる例がアメリカで、米領空は、フィリピンにまで及んでます。
一般的に、陸上よりも海上の方が上空通過料が少なくはすみますが、この米空域を通過する場合、オーストラリアから日本へ行くにしても、経路によってはアメリカに通過料を支払わなければならないこともあります。