ソニックブームとは、音より速く移動するジェット機によって生まれる(衝撃波の)大音響。
あまりにも大きな騒音なので、地上にいる人は誰でも聞くことができますが、飛行機の中にいる人はどうでしょうか?
実は、超音速ジェット機のパイロットは、機内の空気を伝わった音しか聞こえないため、音速の壁を突破するときの外からの音はあまり聞こえません。
どうやら、エンジンのうなりを振動として感じる程度のようです。
一体、超音速ジェット機のパイロットにはなぜソニックブームが聞こえないのでしょうか?そもそもソニックブームはどのようにしておこるのでしょうか?
以下に分かりやすく紹介します。
ソニックブームとは
超音速ジェットは、音そのものの速度よりも速く移動できる飛行機です。
さて、すでにご存知かもしれませんが、音速よりも速く移動すると、一般に「ソニックブーム」として知られるドーンという大きな音が聞こえます。
この大音響は、衝撃波によってうまれ、地上の窓ガラスを割るほどの被害をもたらすこともあります。
地上にいる誰もがそれを聞くことができますが、航空機内の人にも聞こえているのでしょうか?
ソニックブームはなぜ、どのようにして発生するのか
彼らが乗っている飛行機が「音の壁を突破する」とき、機内でそれをどのように感じるのでしょうか?
音の壁、あるいは、音速の壁は、航空機にとって音速(マッハ1)付近の速度で飛行が困難となる状況を表す。(wikipedia参照)
物理の授業で、どのようなものでも音速よりも速く移動するとソニックブームが発生すると習ったかもしれません。
高速で移動する物体、たとえば戦闘機は、あらゆる方向に音波を発します。
そして、さらに速度が増すと、ジェット機の先端で空気は圧縮されて、そこに音波が集中して密度が高まっていく傾向があります。
しかし、航空機が音速よりも速く飛行すると、前方に集中した圧力波は波紋のように逃げる時間がなくなり、逃げられなくなった音波は代わりに飛行機の後ろに円錐状に「衝撃波(マッハコーン)」を形成します。
超音速の飛行機が頭上を飛ぶときに耳をつんざくような爆音が聞こえるのは、この衝撃波のせいです。
これは、高速で動く船の後ろにできる円錐型の流れによく似ています。
ソニックブームはジェット機内部の人には聞こえない
超音波ジェット機のソニックブームは、地上の人々にははっきりと聞こえますが、パイロットをはじめ、乗組員など機体の「内部」の人々には聞こえません。
彼らは、衝撃波(マッハコーン)の先端にいるため、自分たちのジェット機が作り出す大音響を聞くことはできません。
言い換えると、彼らは、はるかに速く移動しているため、ソニックブームが追いつくことができないのです。
では、飛行機が、音の壁を突破したときにコックピットや客室は、逆に静かなのでしょうか。
機内の空気を伝わる音のみ聞こえる
ご存知のとおり、音は機械的な波で、伝わるには媒体が必要で、また、移動する媒体に対して音は 「相対的な」速度で移動します。
たとえば、音は、気温が約20℃のとき、立ち止まっている人の横を毎秒343mで移動します。
しかし、上空で空気が毎秒100mで移動している場合、同じ静止したままの人は、音がより高速、つまり、毎秒約443mで移動していると認識します。
さて、超音速飛行機に乗っている人を取り囲む内部の空気は、飛行機自体と同じ速度で移動しているため、機内の空気中を伝わる音、機内の騒音レベルは全く変化しません。
同じ理由で、パイロットは自分の声や、乗っている超音速航空機のエンジン音を聞くことができます。
ただし、コックピットに届く外からの音は、機内の空気を通して伝わってくる音に限られます。
さらに、エンジンから発生する騒音は、機体に伝わった後、パイロットには軽い振動程度に感じられています。
参照元:sonic boom