なぜ星は夜空でまたたくのでしょうか?
実は、星が本当にまたたいているわけではなく、地上から見ると光がまたたいているように見えるだけなのです。
そして、この星の輝きは、大気差によるものです。
以下に、遠くの星の光が強まったり弱まったりして輝く理由について、大気差の仕組みをもとに紹介します。
大気差とは
大気差とは、地球の大気によって引き起こされる光の屈折です。
地球の大気圏は、地表から1万kmほどもあり、風や温度、密度などによって絶えず変化しています。
大気の変化によって、毎瞬間に、光がさまざまな角度に屈折し、わずかに方向を変える現象を「大気差」といいます。
星が輝いて見える理由
大気が私たちの方向に向けて光をより多く屈折させると、星はより明るく見えます。
大気が星の光を屈折させる角度が私たちに向いていないと、星はより暗く見えます。
このようにして、私たちの目に届く星の光量は、大気の変化によって増加したり減少したりし、見かけの明るさや色を瞬時に変化させ、キラキラと揺らめくように見せているのです。
このような大気の不規則性による見かけ上の星のまたたきは、科学的な用語で「シンチレーション」とも呼ばれます。
光の屈折は、身近なところでも見られます。
蜃気楼が見えるのも、虹ができるのも、水に入れた鉛筆が曲がってみえるのも、光の屈折によるものです。
惑星はまたたかない理由
星がまたたく一方で、惑星はキラキラとまたたくことはありません。
なぜなら、星に比べて惑星は近いため、惑星に反射して地球に届く太陽光線は太く安定しているからです。
一方で、星は、はるか遠くから届く光なので、その細く小さな点は、大気の影響を受けやすいのです。
つまり、遠くに離れた星ほど、より一層またたいて見えるというわけです。
まれに、地平線近くで見える惑星がまたたいて見えることがありますが、これは、真上からの光よりも斜めから入る光の方が、目に届くまでにより多くの大気を通過するからです。
天体観測に慣れてくると、またたいている星かどうかで、その天体が星か惑星かを見分けることができるかもしれません。