家庭から出る生ゴミを、肥料にリサイクルできる「コンポスト」の作り方やその仕組みを紹介します。
コンポストとは、ある種のゴミを腐らせることによってできる特別な土のようなものです。
バナナの皮や枯れ葉をたくさん置いておくのは、ちょっと不潔な感じがするかもしれませんね。
でも、このゴミはやがて堆肥になり、庭の花や野菜などを育てるための土の栄養分になるのです。
では、ゴミから美しい花を咲かせたり、おいしい野菜を作ったりするにはどうしたらいいのでしょう?
さっそく以下にみていきましょう。
コンポストの仕組み
たとえば、リンゴの芯をしばらく放置すると、それは茶色くなり、ドロドロになり、ぬるぬるした感じになります。
やがてそれは、なんとなく消えていくような気がします。
しかし、ただ消えるわけではありません。
分解されるのです。
何かが分解されるとき、それは小さな破片に分けられます。
分解を助けてくれるのは、「分解者」と呼ばれる生き物たちです。
分解者の働き
分解者というかっこいい名前で呼ばれるのは、彼らがかつて生きていたものを分解することによってエネルギーを得ているからです。
リンゴの芯は、かつてリンゴの木の一部でした。サンドイッチのパンの耳は、小麦からできています。
分解者は、このようにかつて生きていた物のかけらを自分たちの食べ物として利用する、つまり、ゴミを食べるんです。
腐った丸太に生えるキノコや、食べきれなかったサンドイッチの残りを食べる虫、ミミズも分解者の仲間です。
さらに分解者のなかには、私たちの目には見えないような小さな微生物もたくさんいます。
分解の仕事って、なんだかとても大変そうだけど、とても大切な仕事なのです。
なぜなら、分解者は、枯れた植物や生き物のふんを、栄養がいっぱい詰まった堆肥に変えるからです。
あなたの体は、食べた物の栄養で健康を保っています。
同じように、植物にも栄養が必要です。背を伸ばしたり、花を咲かせたり、私たちが野菜や果物として食べる植物の部位を作るためには、栄養が必要なのです。
そのため、分解者がいなければ、植物は必要な栄養素を得ることができなくなってしまいます。
コンポストの作り方
さっそく、分解者に働きかけて、コンポストを作ってみましょう。
コンポストを作っている人の多くは、庭のどこかに大きな容器を持っています。
もし庭がなくても、コンポスト専用のバケツや、空き瓶など、小さな容器でもコンポストは作ることができます。
ただし、どんな容器を使うにしても、良いコンポストを作るには、キッチンで料理人がするように、一種のレシピに従う必要があるのです。
用意するもの
まずは、容器から用意しましょう。
容器は、金属製でも木製でもプラスチック製でも構いませんが、空気が出入りできるように穴が開いていることが大切です。
良いコンポストを作るには、空気が重要な要素になります。
昆虫やミミズなど多くの分解者は、あなたと同じように呼吸するために空気を必要とするからです。
次に、ゴミを2つの色に分類します。
コンポストに使うゴミは、一般的に緑色と茶色のどちらかです。
緑色のゴミには、バナナの皮や野菜のクズ、果物などの生ゴミが含まれます。
ただし、キッチンで捨てるものは、全部が全部使えるわけではありません。
例えば、肉やチーズは、コンポストを掘り返すかもしれない動物や害虫たちを引き寄せてしまう可能性があるので、野菜や果物の残飯、卵の殻やコーヒーがら、茶葉などを使い、できるだけ細かく切ってから入れるようにしましょう。
茶色いゴミはその名の通り、枯葉、わら、おがくず、米ぬか、木くずなどで、緑色のゴミの約2倍の量が必要です。
作り方
空気穴の開いた容器に、用意した緑色と茶色のごみを代わる代わる層状に重ねて入れます。
そして、水を入れて保湿します。
あと必要なのは分解者だけです。
容器が屋外にある場合は、昆虫やミミズなどの分解者がやってくるのを待つだけでよいかもしれませんが、室内でコンポストを作る場合は、赤ミミズを探して入れるとよいでしょう。
そうそう、忘れるところでした。
コンポスト作りには時間がかかるので、忍耐が必要です。
容器の大きさにもよりますが、分解者が仕事をし、ゴミをすべて分解するには何カ月もかかることがあります。途中で、堆肥の山を少しかき混ぜたり、シャベルでひっくり返したりして、分解者を助けてあげましょう。
せっかくなら待っている間、ちょっと観察してみましょう。
コンポストの堆肥を観察していると、とても素敵なことが見えてきます。
キノコが生え始めたり、たくさんの昆虫やミミズを見ることができるはずです。
ミミズがうまく働いてくれれば、また、上のレシピ通りに材料をうまく入れていれば、コンポストは嫌な臭いもしないでしょう。
待ち時間が終わり、コンポストが出来上がると、それはまるで土のようです。
しかし、コンポストはただの土ではありません。ゴミが持っていた栄養がたくさん詰まっているからです。
つまり、コンポストは植物を健康的に成長させる有機物であるだけでなく、ゴミを「緑」に変えることができる素晴らしい方法なのです。