皆さんは、金星と天王星は他の惑星と異なる回転をするって知っていますか?
太陽系の8つの惑星は、すべて太陽の周りを同じ方向に公転することはよく知られています。
しかし、自転の向きは同じではありません。
順行は、地球の北極を見下ろした場合、太陽の自転と同じ方向(反時計回り)に運動していること。
一方で、逆行とは、簡単に言うとそのまったく逆で、惑星が時計回りに回転することです。
地球を含む太陽系のほとんどの惑星は反時計回り(順行回転)。惑星だけでなく、小惑星や衛星も反時計回りです。
水星もゆっくりではありますが、止まっているわけではなく他の惑星と同じ方向の「順行運動」です。
しかし、
金星と天王星はどうしてこのような奇妙な回転をするのでしょうか?以下にみていきましょう。
自転軸はまっすぐではなく少し傾いている
太陽系には、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8つの惑星があります。
それらの自転軸は、公転面に対してわずかに傾いています。
一般的に、惑星ごとに傾きは異なりますが、ほとんどが30度以内に収まっています。
しかし、金星は約177度、天王星は約98度と傾きが他の惑星とは大きく異なっています。
そのため、以下のように金星と天王星のこれらの異常な傾きと回転パターンを解明しようとする科学者たちの論争を呼びました。
金星が宙返りして自転が逆転した理由について
初期の理論では、両惑星はかつて順行で自転していましたが、小惑星との衝突によって回転が逆転したと考えられていました。
近年では、金星の逆行回転については、マントル外層とコア層の間の激しい摩擦と大気の大きな潮汐力により、地軸を中心に惑星が177度反転し、自転が逆転した説が有力視されています。
ただし、中には、金星が実際には3度傾いているだけだと主張する科学者もいます。
さらに論争を招いているのは、金星が、太陽の磁場との相互作用のために、徐々に速度を落とし、自転を逆転させたというもの。
新しい解釈では、金星と同様の大きさの天体が衝突し、その結果、金星は破壊されるのではなく、サイズが増大した(小惑星衝突理論)と推測されています。
天王星についてもさまざまな説があります。
横倒しになって自転する天王星
天王星は、公転面に対して約98度傾いた横倒れのまま、太陽の周りを回っています。そして、自身と同じように約98度の傾きをもつ環と衛星を持つのも特徴的です。
このような異常な向きも、天体の衝突をもとにした理論が繰り広げられています。
2011年の最近の研究では、複数の天体の衝突がこの傾きを引き起こした可能性があることが示されました。
Melaine Saillenfest氏による研究「天王星は衛星の潮汐力によって傾きが変化した」とする説では、木星や土星など他の惑星の自転軸も、(衛星の質量によって)数百万年から数十億年などの一定期間をおいて傾きが変わっているのではないかと考えられています。
しかし、天王星は、地球から30億キロメートルという途方もない距離にあるため、金星の研究よりも包括的な分析はしにくいようです。
天王星への旅を達成した唯一の探査機ボイジャー2号による限られたデータしかないためです。
ただし、少しずつ分かってきたこともあります。
地球の4倍もの大きさをもつ天王星は、この傾きによって片面の夏が42年間(もう片面は真っ暗な冬)近く続きますが、太陽が小さな点程度にしかみえないほど離れているため、気温差はほとんどありません。
表面では、時速7900kmに及ぶほどの風が吹いていることも雲の動きから観察されました。
天体について学ぶべきことは残されている
明らかなのは、この2つの型破りな惑星について、私たちが学ぶべきことはまだたくさん残されていることです。
天文学者たちは、より確実な証拠を提供するために、天王星と金星の内部構造のさらなる調査を大胆に求めています。
実際にNASAは、金星と天王星の特異な回転パターンの背後にある謎を解明するために、将来的に探査ミッションを派遣する計画を進めています。
それまで、私たちは太陽系がまだ保持している秘密が明らかになる日を待ち続ける必要がありそうです。