ゾウの耳が大きいのは、空を飛ぶためではありません。
耳は基本的に音を聞くためのものです。
また、森に生育するアジアゾウは、サバンナのアフリカゾウよりも、丸っこくて小さな耳を持っていますが、この耳の大きさの違いは、生息地の温度環境が影響していると考えられています。
では、どうして耳で体温調節ができるのでしょう?
以下にゾウの耳の仕組みをみていきましょう。
ゾウの耳は体温の上昇を防ぐ役割がある
ゾウのような生物は、血液が体のすみずみにまで熱を供給することで、体温を維持しています。
しかし、運動量が多いときの代謝活動や暑い気候のために、血液中の熱量が増えることがあります。
そうなると、ゾウの体温は上昇しますが、人間のように体温を下げるために汗をかけないゾウは、涼しさを保つための大きな耳をもっています。
ゾウの体温調節方法
さて、ゾウの大きな耳には何千もの血管が通っています。これらの血管は皮膚の表面にとても近いところにあります。
血液中の熱量が多くなると、ゾウは、耳を扇風機のように使って体を冷やすのです。
ゾウの体温が周囲の温度よりも高くなると、耳に流れ込んだ血液の熱エネルギーは、温度の低い領域に移動するため、大気中に逃げていきます。
これは、手の平に氷をのせると、手の熱が氷に移動して氷が溶けるのと同じ仕組みです。
全身に巡る血液が冷やされることで、ゾウの身体も冷やされるのです。