スポンジ・ボブをはじめ、アニメ映画で欠かせない効果音(足音やパンチの音など)は、やかんやのこぎり、クッションや棒など意外な物でゼロから作られています。
音だけで、アニメのキャラクターや動作、緊張感や雰囲気を表現するなんて一体どのようなテクニックが使われているのでしょうか?
しかし、なかには犬の歩く音や食事中の音など私たちが普段耳にする音とは少し違って感じる効果音もありますよね。
それもそのはず、効果音は、フォーリー アーティストと呼ばれる音の専門家が、アニメのキャラクターや動作、緊張感、臨場感などを音だけで表現するために意外なものを使って自らがゼロから作り出しているからです。
以下のように、刀で斬る音にやかんやのこぎりを使ったり、パンチの音に浮き輪が使われたりすることも。
誰も見たことのないモンスターの鳴き声や足音も、身近なもので作り出し、音だけで見事にモンスターの心理描写までしてしまうのです。
さっそくフォーリー アーティストのSanaa KelleyさんとMonique Reymondさんがアニメの効果音をどのように作成しているのかを現場で紹介した実際の音の例を見てみましょう。
身近な物を使った効果音
たとえば、『スポンジ・ボブ』で歩くカーニさん(ミスター・クラブス)。
貝を木で叩いた「コトコト」という足音だけで、カーニさんが素早く動く様子をリアルに感じ取ることができます。
では、ここで問題です。
濡れたタオルを水で洗濯するようにこすり合わせた音ではでは何を表現できるのでしょうか?
答えは、水たまりに尻もちをつく音。
フォーリー アーティスト(アニメや映画の音響効果の専門家)は、サウンドがないゼロの状態からクリエイティブな可能性の扉を開き、アニメーション用の効果音を作成しなければなりません。
実写映画とは違い、アニメーションでは、望む音を何でも作成しなければならないのです。
『インベーダー・ジム』でロボットが歩くカチッという金属音は、やかん(金属音が共鳴)とケーブルの足で表現されました。
『アバター 伝説の少年アン』に登場する巨大な神話上の獣、空飛ぶバイソンのアッパには、より大きく丸みのあるサウンドが必要とされました。
アッパは体が大きいので、足音にはクッションや布にくるんだ木を床に叩きつけてみるなど色々試した結果、プランジャー(トイレのすっぽんの先のようなもの)に紙ナプキンを詰め込み、ダクトテープで入り口をとめて弾いてみるといい音が作れたといいます。
ダクトテープによって、耳障りな音を抑えたことで、大きいだけでなく抱きしめたくなるような生き物の、ふわふわで丸みのある足音が生まれたのです。
アクションアニメの闘いシーンでの効果音
アクションアニメ映画に関しては、素早い動きの背後にある力を強調するために、特に戦闘シーンにおける効果音が重要になります。
『カンフー パンダ』の素早いパンチシーンでは、ビニールの浮きを叩いてパンチの音を表現。
戦いのシーンで刀を振り下ろす音は、竹の棒を勢いよく振り下ろす音で表現。これは、アンテナなど、この種の音を発するものなら何でも使用できます。
刀同士が「カキーン」とぶつかり合う音は、シャベルとのこぎりや包丁などをこすりあわせた金属音で表現されています。
フォーリーサウンドとデジタルの組み合わせによる音響効果
これらは、ほとんどのフォーリーサウンドと同様に、サウンドデザイナーによってデジタル加工されることがよくあります。
フォーリーと音響効果(デジタルサウンドエフェクト)の組み合わせが重要なのです。
最後に、おなかがすいた子供が食べ物を口に詰め込むときの音。
音だけで、キャラクターがお腹を空かせているに違いないことが分かるなんて、音響の劇的な効果には驚かされますね。
まさにフォーリーアーティストの創造性は無限大です。
参照元:How Cartoon Sounds Are Made For Movies & TV Shows