金星は、「明けの明星」「宵の明星」と呼ばれるように、太陽が昇る前の夜明けや太陽が沈んだ後の日の入り時にのみ見ることができます。
では、そもそもなぜ金星はいつでも見ることができないのでしょうか?
その理由を理解するには、まずは、金星の軌道を知る必要があります。
ここでは、夜空に金星を探す方法や、夜明けと日の入りにしか見れない理由を中心に分かりやすく紹介します。
金星は、太陽と月に次いで、空で3番目に明るい天体です。探し方のコツさえ分ればおそらく、すべての惑星の中で、最も簡単に識別できるでしょう。
実は、古代ギリシャ人は明け方と日の入りに見える金星を異なる星と誤解していたようですが、マヤ文明の人々は、同じ星としてすでに認識していたようです。
金星とは
金星は、太陽系内の位置関係により、日の出(東の空に)と日の入り(西の空に)にのみ見ることができます。
これは、金星が地球よりも太陽に近い(公転軌道が地球の内側にある)内惑星であり、常に太陽と同じ側に見えるからです。つまり、昼間は、空が明るすぎて見えないだけなのです。
また、金星は、空で太陽の位置から遠く離れることはないため、夜中に見えることはありません。
夜明け、または、夕暮れの頃、太陽が昇る直前、または、沈んだ直後にのみ、ちらっと見ることができるのです。
では、なぜこのタイミングでしか見れないのかを分かりやすくみていきましょう。
明けの明星
金星は、日の出の直前に東から昇ると明けの明星になります。明けの明星としては、263日間見ることができます。
これは、金星が、地球から見て、太陽の右側、太陽よりも手前(内合)を通る公転軌道に沿って移動しているためで、この場合は、地球が自転するにつれて、明け方に太陽よりも先に金星が昇るのを認識できます。
宵の明星
一方で、金星が宵の明星になると、日没直後に西に263日間現れます。
これは、金星が太陽の左側にあり、向こう側(外合)から手前に軌道を移動するときで、太陽よりも後に沈むことで起こります。
金星が消える期間
金星が空にいないときもあります。
これは、金星が地球から見て、太陽の向こう側に位置している時で、その50日間は空から消えます。
さらに、太陽と地球の間に入ってきて、夜側が私たちに面し、昼側が反対側を向いている状態で地球に最も近いときにも約8日間消えます。
これらの金星が見えない期間は、明けの明星と宵の明星としての金星の位相の間にあり、金星が太陽の後ろ(向こう側)にある場合は「外合」、金星が地球と太陽の間(手前)にある場合は「内合」として知られています。
これらの合のタイミングは、金星の軌道周期によって変わります。
金星の584日の会合周期
それでは、金星の584日のパターンを確認しましょう。
これは、金星の会合周期として知られており、太陽と2つの惑星(地球と金星)が一巡して一直線に並ぶ一定周期のことです。
このパターンは、明けの明星から宵の明星の交代を支配しています。
金星は太陽より先に昇り、263日間東の空で見ることができます。その後50日間(外合)は、地球から見ると金星は太陽の後ろを通過するため、私たちには見えません。
その後、金星は宵の明星の期間に入り、それはさらに263日間続きます。この期間、金星は日没後に西の空に現れ、夕方に明るく輝きます。
その後、8日間は内合期間です。これは、金星が地球と太陽の間を通過するときで、夜側、または、新月と同じように地球に面しているため、私たちには見えません。
これらら一巡した後、金星は再び現れ、これを繰り返します。
この584日の期間は、金星は地球の1年で太陽の周りを約1.6倍の距離公転します。
別の見方をすると、金星が13回公転するごとに、地球は(8年間かけて)8回公転します。13対8の比率を形成するのです。
これらの数字は連続したフィボナッチ数列(前の数字を足した数が続く法則)であり、黄金比にとても似ています。
厳密には黄金比に従ってはいませんが、これらは調和のとれた数学的つながりを反映した原理となっていることが分かります。
このユニークなリズムと金星の予測可能な見え方は、人類の歴史を通じて文化的に様々な場面で貢献してきました。
金星の見つけ方
金星は、他のすべての星よりも明るくて、月ほど明るくないので、簡単に見つけることができます。
また、金星は地平線から45度より上に昇ることはなく、空のずっと低い位置で見られることが多いので、地平線の近くを探してください。
そこでは、月を除けば空で最も明るい物体として金星が輝いています。
この惑星が見つけやすい理由は、とても明るいからです。
金星は見かけの明るさや大きさが変化し、満ち欠けする
金星について気付くその他の点は、明るさや大きさが時間の経過とともに変化することがあり、これは地球からの距離によって異なります。
金星は遠ざかるにつれて暗く小さく見え、地球に近づくにつれて明るく大きく見えます。
また、太陽、地球と金星の位置関係によって、月のように満ち欠けして見えます。
一般的に、惑星のパターンは、一晩で観察できるものではありません。
星座を認識するだけでなく、惑星の動きの微妙な変化に気づくには、数週間、数か月、さらには数年かかります。
しかし、金星のパターンを認識するのは簡単です。
また、金星は予測可能な584日周期を持ち、このパターンは過去の文明の多くの古代天文学者によって追跡記録されてきました。
実は、古代文化では、金星、水星、火星、木星、土星の5つの惑星のみが知られていました。
これらの5つの惑星は、夜空を横切る恒星の一貫したパターンに従わないため、際立っていたのです。